シナリオ、脚本を書く前に
シナリオはいきなり書かない。
学校の作文とは違うのだ。ちゃんと設計を構想しないと途中で見失う。
ちゃんと設計しないといけないのだが、最初はちゃんと作り込んでもいけない。
シナリオのガイドラインを守りつつもフレキシブルに発想していきながら書いていくのだ。シナリオは書き方書式は決まっていても 書く方法は千差万別で人によって違う。
だから、これだ、という方法は自分で探すしかないし、誰も教えられない。制約も無い。
大事なのは型にはまった書き方でなく、自分のやりやすい方法を自分で見つける事なのだ。
このカテゴリーページについて注意点
はじめに、注意点をいくつか挙げておきます。
ここでの情報は管理者の考えに基づいた方法、書き方、考え方です。つまり管理者の主観的な部分が大半を占めています。あまり客観的な視点では書いていませんし、書けません。何が皆さんのやり易い、何を持ってして ”書きやすい” となるかは分からないからです。
肝心なのは これらのエントリーページを見てもらって、皆さん独自の意見を考えて頂く事なのです。
「私だったらこうする」、「俺だったらもっといい方法で書く」 と感じてほしいのです。
これは作家目線でもありますし、なにより皆さんのシナリオに対する理解が早くなります。
1番ダメなのは、批判だけで終わる事です。これは誰にでも出来るもっとも簡単な解釈法です。これは絶対避けて下さい。人として賢い事ではありません。
必ず 「こうしたほうがいいのでは」、「こんな方法のほうが効率的」 と考察してもらいたいのです。そうしてもらわなければこのサイト自体、皆さんにとって意味がありません。
管理者のやり方はどうでもいいのです。この記事を読んでみてアホだな〜でも頭弱いな〜と感じられても、そんなのはどうでもいいのです。肝心なのは あなた自身が 「もっと上手く書いてやる」 と感じてくれれば、それでいいのです。
そして必ずご自身の書き方が存在します。決して簡単ではありませんが探せば必ず見つかります。
ご自身の独自の感じた意見を持って下さい。この記事はその為の叩き台なのです。
シナリオ、脚本を書く前に考えておかなければならない事
原稿用紙をもらって、目の前にすると早く書きたくなります。何を書いていいんだか、わかりもしないのに何だか書きたくなります。そうして実際に書いてみても、結果は御覧じろ、になります。
それは細工は流々になっていないからです。
若い方には分かり難いですよね。つまり準備が出来ていないうちから取り掛かってもうまくいかない、ということです。
シナリオにもこの理屈は大いに当てはまるのですが、ニュアンスがちょ〜っと違います。
シナリオを書き始める前にある程度、決めておかなければいけない事、後になって迷わないようにするための事を管理者なりに考えてみたいと思います。
テーマを決める
テーマはお話しの主旨みたいなものです。伝えたい事の要点です。
シナリオスクールの課題名は本当はテーマでなくモチーフです。素材であって伝える意味ではありません。
課題そのものをテーマとしてもいいっちゃいいのですが無機質な文言だけなのでテーマに合いません。ですから課題をメインでお話しを作るのではなく、まず自分で決めたテーマ設定があってお話しの中に課題名の要素を盛り込むという解釈の方が書きやすいのかもしれません。
シナリオにおけるテーマとはなんでしょう?管理者は最初意味が理解できませんでした。
テーマ・・・何を伝えたい?・・・いや、別に伝えたいことなんてないし・・・言ったってしょうがないし・・・
これがシナリオスクールを続けられなくなった想いです。
しかしテーマを決めておかないとお話しがブレる、お話しにならないことは知っていましたし、そんな残念な映像も実際に見たことがあります。
それでは本末転倒、面白いものではありません。
テーマ、伝えてみたいことは簡単にいえば ”何の変化を書きたいか” ということだと思います。
もちろん、他の要素でも構わないのですが なにかしら変化を書く事、変化の過程を時系列に書くのがシナリオ、脚本なので素直にその理屈に沿って考えてみます。
1つ目の変化は心情です。
今までこう思っていた人がこうなった、これまでこんな感じ方をしていたが結果的に感じ方が変わった、こんな見方をされていたのが違った見方をされた、と何でもいいのですが心情における部分を決めます。つまり人の心理的な変化はどうするのか、どう変化させるのか、ということです。
2つ目はもう少し踏み込んで具体的な変化を考えます。
生きていたものが死んだ、泣けるものが笑えた、貧乏だったものが裕福になった、死んでいたものが実は生きていた、でもいいのです。これは見た目、聞いた目で物理的な変化をどうするのかということなのですが、簡単にいえばビフォアアフターです。ダイエット商品の広告みたいに はじめはこうでその商品を使ったらこうなった・・・みたいなことです。
で、この2点だけ決めます。もし構想が曖昧ならば1つ目の心情面だけ確定しておきます。2つ目はとりあえずにしておきましょう。メモでいいので書いておきます。
実際のところテーマは最初から決められている場合が多いようです。現場では原作があるならそれに逆らえませんし、オリジナルでも企画段階で上役はこの点をある程度詰めています。
原作モノであればこの2点を理解するまでひたすら読み込みます。こちらの主張より、まず相手が何を言っているのかを理解します。
オリジナルでも なにかしら縛りがあるはずです。その範囲で変化できうる余地を確認します。
変化を考えるにあたり誰しも得意、不得意があるはずです。
子育てした経験のない人が子供の成長を書いてもいいのですが、イメージが湧き難いと思います。恋愛モノを書こうとする場合、恋愛自体したことない人はなかなか難しいと思います。出来れば得意分野で勝負した方がアイディアが出やすいのです。
シナリオは経験のないことでも想像で書かねばならない側面がありますが 上記のとおり心理面でのテーマが最優先事項なので出来るだけ自分の中にないものはテーマにするべきでないと思います。経験のない事を想像で書く場合はモチーフだったりディテールの部分にしておきましょう。
なぜでしょう・・・
ウソは必ずバレるからです。
テーマの2要素を決めたら目的を確認しておきます。目的とはその変化の過程は誰に見せるのか、どんな目的で使うのかということなのですが1番は観客の ”カタルシスの解放” でしょう。
それがハッピーエンドか、バットエンドか、はたまた弱きを助け強きを挫くものなのか、ドキュメンタリータッチか、ファンタジーか、コメディーか、シリアスか、ミステリーか、観客をどんな気持ちにしたいのかをザックリで構いません。この時点では妄想の域を出なくても構いません。メモに残しておきます。
それと、シナリオを書こうとする場合に 当たり前ですがフォーマットも決めておかなければいけません。実写か、アニメか、戯曲か、ドキュメンタリーか、広告か、プロパガンダか、時代劇か、現代劇か、1時間ものか、30分ものか、ジャンル、カテゴリーによって書き方がまるっきり違ってきます。
もちろんテーマ決めの前でも確認しておいてもいいのですがテーマが決まっていた方が頭にイメージが浮かび易いのです。
テーマの骨子があったほうが管理者はやり易いと思います。
最初のテーマ決めの段階でもうすでに作者の頭はイマジネーションし始めています。例えメモ書きでもその先まで考え始めています。
なるべく早い段階で具体的な映像をイメージしたいので決まった方針は文字で残しましょう。
メモで十分です。
ここでは初心者向けに書きますので目的は ”カタルシスの解放” でやはり需要の多いハッピーエンドとしてお話しを作る事にします。
そしてこれまで決めた事に肉付けをして膨らまします。
お話しの骨を作る
やり方はまず原稿用紙1行でこれから書くシナリオ全文を説明します。ポイントは必ず1行でまとめること。2行も3行も書きません。無論、あらすじとかプロットとかは今は考えません。
これから書こうとするシナリオを原稿用紙1行なので”一言”しか書けません。一言で言えばこんなもの、を考えて文字として書いておきます。
よくあらすじ、プロット、箱書き等、シナリオの執筆テクニックを紹介してある本がいっぱい出回っていますが初心者ならなおさらこの点は無視してください。なぜかというと思考すべきはイメージの映像化であり、書き方のノウハウではないからです。
シナリオスクールでもあらすじの課題がありました。
仮にコンクールに応募するとして そのあらすじを書け、というものでしたが、そんなの書ける訳がありません。だって実際に本文があって あらすじが書けるのです。順番が違います。
あらすじから本文を発想して、あらすじ通りにならなかったら そのあらすじは間違いとなってしまいます。
本文に仮も何もありません。存在しないものから何を発想してあらすじに繋げるのか理解できませんでした。
あらすじやプロットや箱書きなんかは、それを書くためにシナリオを書いているのではありませんしシナリオの設計図でもなんでもありません。そんなに依存してはいけないモノなのです。
あらすじ、プロット、箱書きに書いた項目は絶対に途中で変更になります。シナリオを書いていれば誰しも必ずその通りには終わりません。
それはなぜかというと書いているうちにどんどんイマジネーションが研ぎ澄まされていくものだからです。そして最初に書いたあらすじだのプロットだのに意味が無い事を感じるはずです。
所詮参考程度、工夫の一部でしかないのです。はじめから終わりまでそのようなモノなんか無くても書けますし、頼らなくたって自分の書き方が見えれば邪魔なものでしかありません。これはプロの脚本家さんも言っています。ですからあらすじみたいな付帯的な文章に大事な自分のイメージを引っ張られてほしくないのです。
ちなみに管理者はあらすじの課題では、どうしても納得して書けなかったので本当に1本書いてみました。京都アニメーションのコンクール要項をネットで検索してコンクールに出すシナリオを実際に書いて、そのあらすじを提出しました。
内容はぜんぜんダメでしたが、構想している時間もなかったし、でもあらすじというものはちゃんと書けたと思いますし上記のような自分の意見をハッキリ持てました。
初心者にそんな器用なことをやらさないで、と率直に思ったものです。