アニメ脚本家って必要?

 

 

脚本は映像の設計図であるが 完成映像から見た決定稿は もはや原形を留めていない。

 

最初の決定稿からあらゆる制作陣の要求に応え続けた結果である。

 

故にアニメシナリオとはただの ”叩き台” なのかと思ってしまうがそれは間違いである。

 

はじめに結論付けておくが、脚本家の書くシナリオは必要である。

 

 

直されまくるシナリオでも必要なのか

 

アニメの制作は他の映像制作と同じで共同作業のたまものであります。

 

その中で脚本家のポジションとは一番最初に位置します。原作モノなど予め設定されているものもありますが、それでも映像化する前の一番最初になります。
脚本家の存在価値はこの最初、つまりは白紙の状態から物語を起こすという特殊性にあります。

 

これから映像、アニメにする前提で、”文字” で物語を創作します。この作業は専業で行わなければならない理由が存在します。

 

 

簡単に映像の作り方の前半を確認しておきましょう。

 

脚本、シナリオ
白紙の状態から物語の骨格を決まる、話を作る、映像にする前提でテーマとストーリーテラーとの整合性を検証する。

 

絵コンテ
出来あがったシナリオを基に、実際の具体的な画像を決める、シーンやカットを決めて演出プランを練る、文字情報のシナリオを画像に変換する。

 

演出
出来あがった絵コンテとシナリオから、アニメの場合は作画に演技をつける指示をする。

 

 

脚本家と直接関連が深いポジションは特にこの絵コンテと演出です。だいたいこのあたりでシナリオの改変が必要な場合、行われます。

 

この3ポジションは監督さんが兼任することも珍しくありません。
監督さんによっては脚本家も絵コンテも設置せずご自分で構想してコンテ切ってコンテの中でト書きとセリフを付けているマルチな方もおられます。

 

さて、「なんだ、兼任でも出来るんかい、ならばダメ出し前提の脚本なんて必要なの?」 と合理的な方は思うかもしれません。

 

しかし、本来脚本はお話しの根幹を創作する作業です。我々シナリオを勉強している人は、何も無い所からお話しを作る方法を日夜考えていられるのですが これは専業だから出来る事でもあるのです。

 

監督業と脚本家、コンテマン、演出をすべてこなしている監督さんは、凄いとは思いますが それでバランスのとれた作品が創出されているのかというと、分かりません。分業制になっているにはそれなりに訳があります。どのパートも本来1人ではこなしきれない作業量なはずです。

 

兼務して、そのひずみはどこに行くのでしょう?管理者にはわかりませんが、ただひとつ言える事は ”あえて監督自身がすべて行う理由が存在する” ということでしょう。

 

その理由とは、過去にそういう仕組みにのっとってやってみたが上手くいかなかった、とか 自分の意志を伝えきれない、思った通りの映像にならない等、あまりよろしくない印象です。

 

シナリオはお話しの根幹を作りますが所詮テキストベースです。ぶっちゃけ 絵コンテみたいに映像ベースで物事を決めていないので、具体的な映像にト書きとセリフを加えれば まぁ作れはします。実際、シナリオから絵コンテにしないと現場の作画その他のスタッフは仕事になりません。シナリオだけではいくら絵面を想像して書いても作画的にはおおざっぱ過ぎて “翻訳” が必要になるのです。

 

なんか、実写の場合は ”コンテ” というモノを切らずにシナリオのまま台本として撮影するらしいのですが これはアニメには当てはまりません。実写だから出来る力技だと思います。

 

監督さんが脚本と絵コンテと演出も兼ねていては、管理者の勝手な想像でしかありませんが 「その間、監督業はどうすんの?」 と感じます。
たぶん時間のある映画版とか予算的に余裕のないOVAとか限定配信ものでしか こうは出来ないのではないかと思うのです。

 

1クール12話〜13話の作品では、パンクしそうな気がします。だって物凄い作業量をこなし、決めなきゃならないことが膨大にあるんですよ、監督さんって。
脚本、絵コンテ、演出というアニメ制作の入り口だけ紹介しましたが 最後まで挙げたらキリが無いのでこのページでは割愛します。簡単に紹介できないのです。たった1本の作品でもです。

 

また、前述しましたが 共同作業で作るアニメは互いの化学反応を期待しています。監督さんのキャリアがいくら優秀であろうと所詮1人の人間でしかありません。

 

管理者は人1人の知っている事、価値観なんて世界の大枠からみれば たかが知れていると感じています。出来る監督さんはその理屈をよく知っています。ですから監督であろうと脚本家であろうと1人より3人の方が結果的にいい知恵が出るのです。
分かっている人はそのシナジー効果を期待します。

 

もっともそれが弊害に繋がる要因にもなり得るのですが。

 

脚本家の存在価値とは ”何も無い” から始まるところです。0から1を作る、この作業の難しさは特筆に値します。その作業は作品自体の命運を左右します。いいシナリオからいい作品が出来る事はあっても、悪いシナリオからいい作品は絶対に出来ない、というのが定説です。

 

そして ”1” ができればその後のパートで 2,3,4,5〜10完パケ! となる訳ですが脚本家が最初なだけに 本来後工程の2,3,4それ以降の都合も考えなくてはなりません。

 

 が、しかし・・・

 

出来るわけありません。

 

テーマから物語を創出して、イメージながらも映像と整合性を考慮しながら柱とト書きとセリフで示すだけで大いに時間がかかります。
プロの脚本家さんが30分もの(正味22分)のシナリオを書く為に与えられる標準的な時間は1カ月だそうです。早い人は違うタイトルで同時にこなすそうですが だいたいこんな感じだそうです。

 

1カ月が長いか短いかは判断できませんが単純にシナリオスクールみたいに書き終えればおしまいではありません。ホン読みで決定稿にならなければ書いた事にはならないのですから。

 

 

 

恐るべし!絵コンテのスキル

 

シナリオが決定稿となって後工程の絵コンテに行きます。
これが物凄く専門性を問われます。

 

我々は簡単に

 

○穂乃果の部屋・内(夕方)
   穂乃果、窓の外を眺めながらため息をつく。
 穂乃果「はぁ〜〜〜・・・」

 

なんて書きますよね。

 

これを画像にします。
想像してください、このト書きとセリフを書いた時に思い描いたシーンを。そしてこの柱とト書きとセリフでどこまでその説明が出来ているかを考えてみてください。

 

このシーンを想像した情報はほとんど載っていない事に気付きます。

 

それでも、コンテマンは前後の文脈や展開から想像して、外からの画か、内からの画か、アップサイズか、バストサイズか、正面か横顔か、空を向いているのか、地面を向いているのか、窓は開いているのか、閉まっているのか、ライティングは?シーン頭は? 等など・・・

 

ちょっと勉強しましたが、かなり難しいことをやってのけなければならないのです。そして画像として決めて、コンテのマス目に絵で描いていくのです。
コンテにもト書きとセリフが付きます。同時にカットの秒数を1秒以下単位、もしくはコマ数単位で指定していきます。

 

管理者は知りませんでしたが、絵コンテにも第1稿、第2稿とかがありまして、監督や演出の評価により決定稿があります。

 

ここまで絵コンテの仕事を書いただけで管理者的にお腹いっぱいです。
これは脚本家同様、その道で 映像のダイナミズムを学ばなければ絶対理解出来ません。

 

シナリオは こう言っては何ですが ”かなりいい加減な表現” でも許されるのです、というか 文章では限界があります。それもかなり浅い所で表現の限界があります。

 

管理者もト書きには詳細な描写が必要だとは思いますが 残念ながら絵コンテにおける ”それ” とは比べ物になりません。

 

ですから脚本家が決定稿シナリオを改定されてキレる場合、よほど制作に精通していなければ恥ずかしい結果を招きます。創作発起人の脚本家は後工程の事情も考慮して執筆するべきです。
安易にキレると馬鹿みたいです。

 

そう思いました。

 

そして絵コンテが決定稿になれば それを基に演出家が作画にキャラクターの芝居を指示します。

 

こうなってはブンヤの脚本家は出る幕はありません。絵師の世界は理解できれば素晴らしいのですが、管理者は描けません。

 

これでもほんの最初の工程なのです。
脚本は順番が1番なので どうしてもその後でつじつまが合わない時には調整が必要になってきます。それに協力しない理由は脚本家にはありません。
と、思うのですがいかがでしょう。

 

と、いうわけで 絵コンテさんはその世界で追求するものがあり、演出家さんはその道で追求するものがあり、監督さんはもっと次元の違う世界を見ているでしょう。

 

なので脚本家は脚本家で追求するべき世界があるのですから、いくら監督が出来る人でも脚本家がいらないという事にはなりません。

 

余談ですが、管理者はコンテや演出の仕事を調べていてとても楽しかったのです。より現実的にシナリオというものを理解出来た気がしました。

 

それは直接脚本家としては関係ないかもですが、知っておいて損はありません、というか得になると思うのです。
皆さんもこのサイトの情報に限らずいろいろ調べて見聞を広げてみてください。

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