シナリオ執筆に必要なことがら
シナリオを書く場合における必要な事柄を先にまとめておこうと思う。
これは知っていると知らないと結果が変わると感じたからである。
知らないで取り組むと心が折れる可能性があるのだ。
人間は予防が出来る。
予め知識として持っていれば対処や対応を考える余地が生まれる。
知っていて損はないのである。
書けるのか、シナリオ
テーマは決めましたが、先にここで執筆に関するやってみて分かった事をお伝えしようと思います。
いわゆる、そもそも論です。
管理者がこれって初心者にはハードル高いんじゃね、と感じたことの第1位は 『ライティング』 です。
ライティングなんて言うとカッコイイですが、文章を書く事です。作文を作る事です。まずはこれ、これが壁になるような気がしました。
みなさんはふだんどれくらい文章をいうものを書かれていますか?
読むほうはたくさんなさっていると思います。
本でいえばライトノベルで一冊3万文字くらい、分厚い専門書などは1冊13万文字くらいです。
このサイトの記事は一定ではありませんが1エントリーページでおよそ4000文字くらいです。
読むほうはけっこう大量にこなしておられると思います。ですが書くほうとなるとどうでしょうか。
それも事務的なテキストの写しやフォームの記入などではなく、自分の言葉で自分の感じた事を書く、いわゆる有機的な文章です。
メール?1件のメールはおよそ3MBが上限、マナーとされています。
画像ならすぐいっぱいになりますが文字ならば3MBとは全角日本語で150万文字です。そんなに書く人は見かけません。
LINE?吹き出しに書く文字はメールより少ないです。
ツイッター、フェイスブック、インスタ、どれもたくさん書かれる人もいますがメインはテキストでない場合が多いと思います。
手紙、これが一番人間の感情を伝えるのに役立ちますが現代において年賀状すら管理者も含め書きません。
では、もっと遡って小学校の作文の宿題、1枚400文字の原稿用紙を100枚も書かないと思います。
そんな読み書きを教育された我々日本人でも圧倒的に書く事ってやっていないのです。
それが城戸賞に応募するとなれば、上限1ページ20×40を70枚です。シナリオは原稿用紙を100%使いませんが、単純計算で5万6千文字です。
それを単なる文字列ではなく、描写という間接表現でこなさなければなりません。
何万文字という単位をこなせるのか、これが率直に感じたことであります。
ふだん1000文字にも満たない、内容もテンプレ的なメールや仕事上の事務的なやり取りしかしていなくて、映画級のシナリオを書ききることが出来るのか、
いや無理があるでしょうと思います。
いくら画期的なアイディアがある人でもそれを文字としていざ表現するとなると勝手が違うのです。違い過ぎるのです。
書けません、シナリオスクールの課題にしても管理者の通ったスクールでも1回10×20を20枚ぽっちです。4000文字程度です。時間は1週間もあります。
1ターム10篇を3タームで1万2千文字程度、多く見えますが半年以上かけられます。
とても現実に則していない事がわかるのです。
この点、管理者はこなすのに苦労を感じなくて出来ました。内容は問わないでください。
それはこのサイトや姉妹サイト「高坂穂乃果はCEO」の作成過程で養ったものが生きています。
当サイト「シナリオ教室の劣等生」も含めて、数えていませんがエントリーページだけで200ページ以上書きました。
1エントリーページが約4000文字程度なので、単純に80万文字です。正確ではありませんが、先日発売した電子書籍も約6万文字書きました。
この1年たらずでこなした物量だけでいえばこれだけやりました。
それがシナリオ執筆に大いに役立ったのです。
でも週に200文字程度しか書いていない人はそうは行かないと思います。
つまり、書こうとしてもなかなか書けない、物理的にやったことがないところから考えなければならないという事です。
この解決策はありません。読むほうは速読法なんてテクニックもありますが、ライティングに関してはタイピングと同じで物量をこなすしかありません。
ですから城戸賞のような大量のテキストを求められる案件は1日どこまで書くことが出来るのか、ご自身と相談した方がいいのでは、と思います。
あとは時間をかけて継続して書き続けられれば、そのうち絶対に完成します。
そして面白いことに、ライティングはやってると出来るようになってきます。自然に出来るようになるのです。人間の拡張性の素晴らしいところでもあります。
でもやらないといつになっても出来るようになりません。
本気で脚本家を目指したい方はここら辺りから始めないと成し得ないと思います。
セリフとか、描写とか、ストーリーテラーなんか考える前に自覚しておかなければならない事、それは上手い下手以前の極基本的なこと、「書くことができるのか」ということなのです。
時間という最大のリソース
さて、書ける人も書けない人も城戸賞に取り組むとなれば必ず必要なのが時間です。
初心者がつまずくであろう第2位は 『時間』 です。
お察しの通り、今日取り組んで明日出来るような作業量でない事は明白です。
いったいどれくらい時間を取れば城戸賞のような大きい作品が出来るのでしょう。
管理者の場合、城戸賞の締めきりが8月31日で、執筆を決めたのが7月中旬だったと記憶しています。
管理者は現在フリーなので1日のほとんどを使える環境に身を置いています。
それでもシナリオの執筆は事務作業ではないので3歩進んで2歩下がるみたいな進捗率の悪い作業を繰り返してきました。
無論、管理者のだらしなさも込みです。
完成し印刷して製本出来たのが締めきり当日の午前3時です。後述しますがちょっと失敗してしまって間に合わないかと思いましたがなんとかなりました。
フルに1日使える管理者でも、ライティングに慣れている管理者でも1ヶ月半かかったことになるのです。
書いてみて思った事は、「サラリーマンなんかやってたら到底書ききれない」ということです。
出来る人もいるでしょう、でも管理者は出来ません。
努力次第なんて簡単にいいやがるコンサルタントもいますが、それにしたって限界はあります。
頑張って書くのも正論ですが頑張らずに書けるようになることだって考えれば出来ない事ではありません。
時間というリソースはどんな人でも平等に振り分けられた普遍的な要素です。
問題はその時間を何に使うか、なんですが城戸賞に応募するための執筆時間をどれくらい見積もるかが、作業効率は別としても考えておかなければなりません。
管理者がもし、昔みたいにサラリーマンをしながら城戸賞に応募しようと考えた場合、やはり最低でも半年は必要かな、と思います。
それでも足らないくらいです。
時間のリソースについては詳しく「シナリオ技術でビジネスを作る」カテゴリーに書こうと思いますが、誰しも間違える事、それは”今”にプラスして見積もることなのです。
何かに取り組もうと考えると大抵の人は今の現実のどこかにねじ込もうとします。
それは間違いで結果、頓挫します。
「俺はそんなことない、絶対にやり通す」 なんて根性論を語る人もいますがどうでしょう、管理者は止めといた方がいいような気がします。
それは人の原則論による解釈です。 『何かを得ようとする事は何かを失う事と同義である』 という事を知っているからであります。
城戸賞の執筆でも、何かの資格取得でも必ず目標があり終わりがあります。例え短期的な目標でもその間集中できる環境を整備しないと叶う訳がないのです。
たいがい、時間のやりくりをして、睡眠時間を削って、なんてことに陥ります。
管理者もよくやりました。やってみて結果はどうなのかというとロクなものは得られませんでした。
ましてやシナリオなんて感性を求められるコンテンツです。事務的な作業ではありません。
眠くてはやってられません。当たり前です。
よく「忙しい」を連発する人に会います。
その人は自分が「忙しい」という環境が落ち着くのでしょう。でも管理者から言わせれば「そんなに忙しくしていてシナリオなんか書けるの?」と思います。
そんな人に聞いてみれば「いい作品を書きたい」なんて平気で言います。
まず天才以外無理でしょう。忙しいを連発する人は作品を書く以前の問題をクリアしていません。そしてもっと問題なのがそれを自覚していないという事です。
最悪です。ご愁傷様です。
城戸賞に限らず、何かを志したら、目標があるならやる事のいの一番は 「時間を作る」 ことです。そのような環境を作らなければ、初めっから無理をして始めることになります。
これから幾多の困難を乗り越えなければ成し得ない、城戸賞にしたって悩みながら切磋琢磨しながら孤独な執筆作業をしていかなければならないのです。
はじめっから無理していては出来ないと思います。無理を通せば理屈はひっこむかもしれませんが、では完成したものがちゃんと自分の表現したいものであるか、納得のいく作品になっているかと問われれば、無理をした分何らかの形で失うのです。
ですから、何かを得ようとするなら何かを捨てなければならないのです。
得ようとして”今”にプラスして得られるのは天才しかできない技です。
ご自身を天才と思っていないのなら時間を作るべきです。本気で取り組むなら会社を休むべきです。
休めない?それはいい訳でしかありません。城戸賞にチャレンジしたいのはその当事者の意志です。誰からも強要されていません。
ご自身の時間の使い方をご自身で変えられないのなら、それは適性がないということなのです。簡単に言えば準備が未了である状態なのです。
準備なしに取り組もうとしていませんか?時間を適切に見積もっていますか?この点の甘い人が大多数なのです。
いい作品を書きたかったら時間を確保して環境を整えて下さい。どこまで今使っている時間を城戸賞の為に失えるのか、そこが勝負の分かれ道なのです。
「時間がない」そんな安易な言い訳、したくないじゃありませんか。
コミットメントによるモチベーションポイントを作る
今回、城戸賞の執筆に際してひとつやっておいて良かった事をお話しします。
それは 『宣言』 です。
シナリオを勉強されている知人に「城戸賞書いてみようと思うんだけれども一緒にやらない?」と声を掛けました。
お誘いした訳ですが無論共同執筆しましょうという意味ではありません。共同執筆は許されていませんし。
お相手の方にも強要はしませんし、書かなかったとしても「書くって言ったじゃない」なんて言うつもりもありません。予想出来る反応は全て折り込み済みです。
ただ、声を掛けただけです。
それが後々功を奏します。
初心者が陥りそうな第3位は 『モチベーションポイントを作る』 です。
有能なビジネスコンサルは「そもそもモチベーションなんて存在しない」と言います。管理者もそう思います。
モチベーションが上がらない、やる気が出ない、それは取り組む物に余計な価値を見出してそれをモチベーションとかやる気とか気概なんて勝手に名付けているだけなのです。
そうはいっても実際にやっていて嫌んなる事は珍しくありません。
管理者もサイトの記事にしても、電子書籍にしても教材の製作にしてもすぐ飽きてきます。ずっと、はなかなか難しいのが本音です。
特にシナリオみたいな答えがハッキリしていないものに取り組む場合なんかしょっちゅうつまずきます。
ひとつのセリフ、ひとつのト書きにしっくりいくアイディアが出ない時など、いちいち作業が止まります。そんな各駅停車に嫌気がさして投げだしたくなります。
そのような当たり前の現象にケアする方法がモチベーションポイントを作ることにあるのです。
ポイントっていうくらいなので、いくつか考えておくと作品の完成に貢献します。本当です。
目的意識と宣言でしょうか、城戸賞の場合。
前述しましたが管理者がなぜ福島について書こうと思ったのか、その動機にひとつのポイントがあります。
簡単に言えば恩返しなのですが自分の心残りを解消したいという欲求でもあります。
そして絶大な効果を感じたことが上記のとおり、コミットメント、宣言です。
これは自分以外であればどなたでもいいのですが、出来れば共感できる人が相手だと効果が上がります。
気に食わない相手に勢いで宣言しても相手に感じている価値が薄いと効果がありません。その方が燃えるという人もおられるとは思いますが。
いずれにしても自分の心の中だけで静かな闘志を燃やそうとするのではなく、具体的な相手にコミットした方が簡単で効果的です。
理屈は簡単、「言った手前、やらなければ恥ずかしい」と思えれば成功します。
よくセミナーなんかで知らない隣の他人にコミットさせるコンサルタントもいますが、本質を見抜いていません。
どうでもいい相手にはどうでもいい結果しか付いてきません。もうこれは保証します。
やり方は至って単純で、親しい人、好意を持つ人、心象のいい人にただ言うだけです。
コミットメントの効果は心理学でも説かれていますが、興味ある人は心理学の本を読んでみて下さい。
言うと言わないとで結果に物凄い落差が生じるのです。
あまり難しく考えないで城戸賞のような多少大きい物に取り組む際はやってみてください。後々心の支えになりやり遂げやすくなるのです。
あと、モチベーションという言葉に支配されないようにしてください。
とりあえず書く、管理者のように1日フリーだって気の乗る時も、そうでない時もあります。
そこで必要以上に卑下せずに例え5分でもいいから作業に取り組んで下さい。
大切なのは物量ではなく、『毎日やること』 なのです。
とかく効率ばかり気にしがちです。管理者もそうです。今日は最低ここまでやろう、なんて短期的にも考えてしまいます。
でもやってみて上手くいかない時などは本当に筆が進みません。そんな時は卑屈にならずに一旦止めて好きなことをしてから改めてまた取り組んでみて下さい。
1日5分でいいんです。それを最低条件として自分に課せばけっこう気楽に作業が進みます。
問題なのは何もやらないで1日を過ごしてしまう事、これは癖になりますので気を付けたい所です。
効率を追求するならかなり”遊び”を設けないと最悪強制シャットダウンとなり易くなります。シナリオでいえば完成しません。
前述の記事でも言いましたが、シナリオはある意味完成すること、書ききることに意味があります。品質や内容は完成したシナリオが存在して初めて問われるものです。
未完成のシナリオではその土俵にも上がっていません。
だから1日ちょっとでも「進める」ことが大事なのです。進めていれば必ず完成するのです。
城戸賞だって入賞して映画化されるのが目標ではあるのですが、基本的な部分、出来あがっていないとダメなのです。
その出来上がるまでだって正直苦労の連続です。
その時間内に苦労を重ねて鍛えられるのです。
ライティングと同じでたくさん鍛えた方がいい結果になるのです。人間、そういう風に出来ています。
一人ではなかなか続かないのが現実です。共感できる相手がいる。たとえ単独執筆であってもそれは必要なのです。
そんなわけでシーニャプロトンテールプログラムを作った訳ですが、その大事な部分を見落としている人が大多数であるのが、それもまた現実なのです。
この記事、これで6236文字です。時間は約3時間かかりました。
早いかな?遅いかな?分かりませんが、やればあなたにも出来るのです。