間接表現が面白い|シナリオ教室の劣等生

間接表現が面白い

 

シナリオってとても不便にできている。場所の指定と動作、様子の描写とセリフしか書けない。

 

物語に意味があるにも関わらず、大切な意味が含まれているのにも関わらず、直に書けないのである。

 

映像の設計図なのに正確に書けない、それ自体が矛盾でもあるがその矛盾がシナリオの魅力かもしれない。

 

でも現実的に訴える術を考えねば溜まるのはストレスしかない。

 

どうやって伝えるのか、それが間接表現である。

 

 

 

意味が通るという表現法

 

 ”なんちゃらが通る” 的な話が何かと多いのです、シナリオ、脚本、エンターテイメントの世界では。
間接表現で通るものと言えばそれは”意味”でしょう。

 

管理者は正直申しますとあまり間接表現は得意ではありません。ですのでお気づきの点は教えてください。
それでも頭を振り絞ってみます。

 

理屈はそんなに難しくありません。何かを伝えたい場合に別の意味を持つモノだったり動作だったり表現だったりの要素を組み合わせて 元の要素と違う意味を伝える事です。

 

もうひとつ、元々意味をもつモノ、人、事象を本来の意味と違う意味を伝えるツールにする、こんな感じでしょうか。

 

やっぱり上手くお伝え出来ないので最低限の例を挙げます。

 

犬のしっぽがフリフリ、の動作で→喜んでいる、が意味で→男の子と話す女の子にしっぽを付けてフリフリさせると→女の子が喜んでいる=男の子に想いを寄せている
となるのです。

 

このように、たかが犬のしっぽの動作ひとつで芋づる的に女の子の心情が表現できます。またしっぽふりふりは喜びの他にも服従とか尊敬などの表現にも使えます。
そこに表わされるものとは ”意味” です。

 

ただし、最低の条件があります。
それは、”面白い” と思われることです。

 

間接表現の難しい所はシャレが利いていないと、とってもとっても野暮ったい表現になりがちなのです。一歩間違えると意味すら通りません。作者は通したつもりでも観客には伝わらないのです。

 

 「はぁ〜?」 で終わってしまいます。作者的に悲劇が待っているのです。

 

特に脚本勉強家のやらかすこととは、自分の世界にドップリハマって趣味や得意分野の中のニッチな部分を引用することです。つまり分かる人にしか分からない、というヤツです。

 

2次元的には たまにそんな作品がありますがアニメの外ネタを引用すると分かっている人にはツボります。でもおよそ知らない人にはまったく意味不明な表現、描写でしかありません。なのでかなりリスキーな演出なのです。
ニッチな引用をするな、とは言いませんが作者は覚悟が必要になるのです。上手い監督さんは引用元が分からなくても、その描写そのものを可愛くしてみたりギャグを入れたりして工夫をしています。

 

なんにせよ、間接表現は手間も頭も気遣いも使います。なので管理者は得意ではありません。

 

そして、実は得意では無くてもやらなくてはならないのです。

 

 

 

ト書きの基本は間接表現

 

柱とト書きとセリフのシナリオにおいて、信憑性のあるものといえばト書きしかありません。

 

柱に有機的機能はありません。セリフはウソつきです。唯一ト書きには真実が書けるのです。物語の意味を伝えるということはウソではない真実である必要があります。主として使えるのはト書きしかありません。
セリフでも間接的な表現はしますが、その内容はウソでなく、それこそ意味が通るセリフにしなければなりません。

 

実際のところ、ト書きに書く描写とはほとんど間接表現と言っても過言ではありません。いい方を変えると、間接表現でなくてはならないのです。

 

そう考えるとお話しを動かすト書きに書ける事とは”意味”を見出してそれを間接表現することとなるのです。
なぜダイレクトに伝える直接表現でなく、わざわざ間接的な表現をしなければならないのでしょうか。

 

それは間接表現の条件である ”面白い” が必要だからです。

 

面白い要素を求めるが為に間接表現を用いるのです。

 

つまり、脚本勉強家としては発想自体を間接的にする必要があるのです。

 

 

間接表現の条件

 

間接表現ばかりはこれが正しいという方法はありません。これまで申した通り面白いという条件をクリアーしていれば ぶっちゃけなんでもいいのです。

 

 ”しゃれ” が利いてない・・・と申しましたがその方が管理者的に面白い描写なのではないかと思うだけなので、それに限りません。
ただ、間接に、ワンクッションおいてから表現するにあたって、せっかくだから何か付け加えたくなるのです。直接表現と同じ効果しかないのなら間接にすることもないと思うのです。

 

例を挙げたくても数限りなく表現手法があるのでキリがありません。ですので、押さえなければならない点を並べてみます。

 

”意味”が通る(観客に分かり易いこと)
何を意味するか理解されなければ表現になりません。

 

その表現が面白いこと
間接的に表現すればいいというものではありません。

 

複数の要素が含まれていること
単純に1つの要素の引用だけで十分な場合もありますが、たいがい複数の要素の組み合わせで出来ています。犬のしっぽふりふりの場合は犬の動作とその意味を女の子の可愛らしさとともにしっぽを人に付けるという意外性をくっつけています。

 

媒体(表現手法)に合っていること
あえて媒体としましたが、上記の犬のしっぽふりふり演出はアニメでは使えても実写では難しいのではないでしょうか。メディアによって最適化しないと陳腐に見えてしまいます。いまどきの日本の実写ドラマ、邦画、特撮はこのあたりが下手ですね。

 

そのキャラクターに合っているか
キャラに合っていなければ、いくら面白いアイディアでも使えません。上記犬のしっぽの場合、若い可愛い系女の子限定です。年配のおじさんにしっぽ付けても萌えません。

 

 

間接表現は、バラせばこんな感じになりますが、お話しの流れに乗って表現を助長させることが大前提になります。
その為に比喩表現を中心に演出していきます。

 

比喩とは”例え”です。伝えたい意味をその他の何かに例えて、例えを代わりに使って表します。

 

例えなので意味が違っても方向性だったり、表現自体の使い方だったりが本来の意味に似ている所から引用します。よって複数の要素の組み合わせになってきます。

 

 

間接表現の表現の範囲

 

間接表現の解釈を難しくしているところは、この範囲の広さでしょう。

 

範囲とは、間接的な表現をする守備範囲、物理的な尺の単位とも言えましょう。
キャラクター1人から1カットから1シーンから1エピソードからひとつの物語全体までお話しを構成している要素の、大小に関わらず使えてしまいます。

 

さらに間接的に表現するので ”表現” する事柄には何にでも使えてしまいます。心理的、精神的な部分にもかなり有効的に使えるのです。
特に人の心情表現には いわゆる”例え”を観客に提示しているので、伝わり易く理解され易いのです。

 

ところで何度か申していますが、このサイトはなるべく例題を載せない努力をしています。
そのココロは、見て頂いた皆さまに考えて頂きたいが為であります。ですが対観客となると話が違います。観客=お客さんは基本考えるのが苦手なのです。あまり考えたくないのです。考えないでも理解したいのです。作品の創作性を追求する立場の人は不満かもしれませんが、創作性と商売とは別の話なのです。

 

考えたくもないし、読みたくもない、それでいて楽しみたい・・・
それが消費者心理なのです。
ですから間接表現=比喩表現を駆使してなるべく考えさせないで ”感じさせる” ことに心を砕くのです。
すべては分かり易くする為なのです。

 

分かり易さを追求した場合、物語全般に渡って表現するにあたり、使えるモノはなんでも使うのです。

 

間接表現は なんとなく1シーンのみの表現手法を指しているような錯覚がありますが、そんなことはないのです。

 

1シーンの中のキャラクター同士のやりとりで間接表現する場合もあるし、1話そのものが物語全体の”例え”で本編と全く違う構成をする場合もあります。
現代劇の中で上下関係をハッキリさせるために1話丸ごと時代劇にすることだってあるのです。

 

そして何を隠そう、テーマを観客に伝える方法そのものこそ間接表現なのです。

 

アニメにしたり、実写のドラマにしたりして、物語に載せて、複数の演出を駆使して、役者に代弁させてまで伝えたいこととはテーマで設定した単純な短い文言だけなのです。
映像作品そのものが寄り道したり遠回りしたり迂回したテーマの間接表現なのです。

 

その”迂回”を我々は楽しみます。

 

 

モンタージュについて・・・

 

間接表現といえばこのモンタージュを思いつかれる人も多いのではないでしょうか。

 

モンタージュは映画の世界で”モンタージュ論”と定義されているほど理論的で小難しいものなのです。
ですので評論家でもない管理者は概略しかわかりません。

 

シナリオスクールの講義でもモンタージュは解説がありましたがとても理解して利用できるような話ではありませんでした。

 

 「戦艦ポチョムキン」というのがある。
その程度でした。

 

「戦艦ポチョムキン」という映画は表現手法にモンタージュ論を初めて取り入れたものとされています。
1925年、セルゲイ・ミハーイロヴッチ・エイゼンシュテイン監督によって作られました。旧ソビエト連邦のロシアの人です。
ご興味ある方はググってください。

 

で、モンタージュとは何かというと映像の視覚効果を狙った表現法です。理論をひけらかしてもしょうがないので簡単に申しますと・・・

 

 ”複数のカットを交互に見せて映像自体の雰囲気を盛り上げる表現”

 

なのかな・・・

 

管理者も分からないのでもっと噛み砕けば、映像にカットってありますね、見た目全く関連の無いカットとカットを繋いで何らかの意図すべき雰囲気を観客に伝える方法です・・・

 

まだわかんない・・・

 

なんか国威高揚などに使われたみたいで、国の威信を表現したいがために 軍隊が整列して行進しているカットと、大勢の民衆が道路っ端で国の旗振りながら笑顔で応援しているカットを交互に見せます。

 

軍隊の行進と民衆の行動は、それ単体のカットに関連はありませんが合わせて並べると ”勇ましい” とか ”支持されている” などの印象を見ている人に与えます。

 

 「どうだ!この国は強いんだぞ〜」

 

という雰囲気を伝えられます。

 

要するにカットとカットを繋いでみたら他の意味になること、のようなのです。

 

なぜ のようなもの とお茶を濁すのかというと、この話、もう芸術論の世界なのです。実際に読み解いたとして、理論に精通出来てもシナリオの執筆にどうすればいいかは個々に任されます。

 

映像を設計するにあたり、このあたりはコンテや演出を知っていなければなかなか気の利いた表現は難しいのではないでしょうか。

 

そこで脚本勉強家が見るべき所は組み合わせで化学反応が起こるという点です。

 

何らかの意図 (意図とは物語性でいいと思いますが) を表すときに組み合わせを使ってみる、その効果を考えてみる、しかも雰囲気まで演出できる可能性が大いにある事を知っておきましょう。

 

ちなみに”モンタージュ”とはフランス語で“盛り上がる”とか”上昇する”という意味です。刑事もので出てくる犯人の似顔絵のモンタージュ写真とは違います。

 

もうひとつ、モンタージュを理解するのに便利な国に我々は住んでいます。
そう、この日本では漢字と言うすばらしい文字を使っているじゃ〜あ〜りませんか。

 

要素の組み合わせで意味を表現するとは、漢字の構成と似ています。
漢字は辺と作りで出来ています。

 

 「好き」の ”好” という漢字の成り立ちを紐解くと母親が子供を抱いているイメージになるそうです。

 

ここから分かることは、”好き” を表現したい場合に母親が子供を抱くシーンで表せるということです。
このように漢字の成り立ちを調べれば意味の通るヒントが見つかるのです。漢字の発祥は象形文字なので人の気持ちを表す場合にどんな行動によるものかを教えてくれるのです。

 

 

間接表現の勉強法

 

ここまで理屈っぽい話を並べておいてなんなのですが間接表現を理解するには日ごろから観察したほうが早いと思われます。

 

理屈でなく、実際に見て感じてみて覚えるかメモにでも記しておいてシナリオの執筆に役立てます。理論を勉強しても それはちょっと方向性が違うような気がします。
やはり実際に使われていて面白いと思えることができる表現を加工して自分に転嫁していくやり方が難しくないと思います。
パターンだけマネをして内容はオリジナルにします。

 

ヒントになるようなことはいくらでも転がっています。要はそれを自分のモノに出来るかどうか、ということです。

 

管理者はよく寝ている時の夢で見た事を忘れないうちにスマホに書き込んでいます。
そこで書く事は”意味”と”その動作”です。

 

いくつか紹介します、お恥ずかしいのですが。

 

ケータイを相手の目の前で掛けて話している→物理的距離は近くても心の距離の遠さを表せる
唇に毒を塗る→殺したいほど愛している象徴
シャワートイレのシャワーがボタンを押しても止まらない→動きたくても動けない
エヴァンゲリオンに乗れない自分→もどかしさ

 

間接表現は意味が理解できていなければ上手く作れません。それが前提になります。ですからイメージがハッキリ固まっていないとツジツマが合わなくなるのです。
管理者の夢話はこのあたりが無責任でツジツマが合っていません。参考にはなりますがマストではないことをお詫びします。

 

もうひとつ、連想ゲームで間接表現を発想できます。

 

やり方はいろいろありますが、ひとつの方法として”意味”を先に抽出しておいて文字に書いてそこから連想されることを片っ端から書いていきます。連想のルールは考えたい意味だけ固定してそこから生じれば何でも構いません。ただし人の意見は取り入れてはダメです。あくまで自分の感じた範囲でやってみてください。

 

連想できた文言をもとに具体的な動作だったり、セリフ回しだったり、展開だったりに応用します。

 

なにかいいアイディアがあったら教えてください。メールフォームでお待ちしております。

 

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第一章 シナリオ構築の全体像
  • 参考に過ぎません
  • 必要な作業とは
  • 小から大へ向かう
  • この作業に取り組める人とは

第二章 実作業に取り組みましょう
  1. テーマの設定
  2. ログラインの決定
  3. お話しの骨格を設定する
  4. キャラクターを作ってみよう
  5. プロット出しでアイディアを量産する
  6. 箱書きで構成を検討する
  7. 下書きシナリオ執筆
  8. 推敲と清書

第三章 お話しの作りはお手本からマネをする
  • 現実的な“マネ”とは

第四章 コンクールに応募する場合
  • 応募要項は鉄板ルール
  • スケジュールに気をつけよう
  • 添付するあらすじについて


※PC画面で23ページ、16075文字



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