音楽で感性を磨く
音楽の表現とシナリオによるそれは意外に似ている。
何を隠そう、音楽にまつわる創作はシナリオを書く事から始まるらしい。
音楽で表わされるものはあくまで感覚的である。
音楽から学べる事とは感覚である。故に文字や言葉の解説に終始しているシナリオの世界では分かり切らない事まで感覚的に学べるのだ。
センスを学ぶには文字や言葉ではたかが知れている事を音楽は語る。
曲を聴いて感じる事を考えてみる。
音楽はシナリオ創作と似ている
これは本当にオススメなのです。
音楽からいろんなヒントが貰えて、なおかつ勉強になるのです。
ですが管理者は音楽を聞くのは好きですけれども構造は全くわかりません。なので、このオススメは管理者の感じた感覚的なものであります。直感で強力な参考案件になると思うのです。
外に出掛けずとも音楽を聴くだけでもシナリオの発想に繋がるのです。しかも感覚的に分かり易いのです。
感覚的では解説出来ませんのでちょこっと勉強しました。
その前に管理者の音楽事情をひけらかしたいと思います。
ここ数年はいわゆるアニソンしか聞いてません。オタク染みていると思うなかれ、昔はちゃんとリアルの音楽にハマっていました。高校時代はジャーニーとかワム!とかブルーススプリングスティーンとかエイジアとか・・・邦楽はボーカルのないフュージョンを聴いていました。そういう時代なのです。
昔はリア充でなぜ今はアニソンなのか、その答えは楽曲の付加価値にあります。
付加価値?と思われるでしょう。つまり、ただアーティストが歌う曲だけで満足できなくなりました。当時は「いい曲だな〜」と思ってCDを買ってくる訳ですがやっぱり聞き慣れると飽きてきます。
音楽とはそんなものだと思っていた所、大人になって現代のアニメを見た時に映像の綺麗さに加えて音楽の拡張性に気が付きました。
簡単に言いますと ”音楽と物語がマッチしている” ことに感銘を受けたのです。
それはリア充音楽ではあまりありません。せいぜいPVでなんとなく物語チックになっているか、映像コンテンツとタイアップしてオープニング、エンディングテーマに使われていたりする程度です。
アニソンは、その楽曲を聞くとその物語やシーンやキャラクターが連想できます。これは大きな付加価値と感じました。
しかも楽曲のパターンがイメージ先行でとても管理者の好みでした。
対してリア充楽曲にそれほどの魅力を感じなくなって久しくなりました。
それは絶対的な情報量の違いなので極論から言いますとアニソンの価値には敵わないと思うほどなのです。
現在でも発売されている音楽アーティストのタイトルは音楽以外の付加価値って何を提供していますか?見た目のファッション性?編曲のバリエーション?クールさ?コミカルさ?PVってなんであんな退屈な映像なんですか?・・・
どれもアニソンのそれには敵なっていません。
そりゃそうです。アニメの本編にどれだけの人が本気で作っていると思いますか?
1曲に込められているパワーのケタが違うのです。
その訳はアニメの文化にあります。それは専用楽曲です。アニソンと言われる楽曲はオーダーメイドで作られています。
出来合のタイアップではありません。もちろんタイアップもありますが多くの監督、プロデューサーはオリジナルの楽曲を発注して作らせています。
アニメ業界の販売の柱といえば、アニメ制作とノベライズと楽曲、この3本が王道です。
ラブライブ!でいえば、サンライズとカドカワとランティスです。
この仕組み、文化がアニソンというジャンルを確立させたのではないかと思うのです。
作品のイメージを提示してわざわざ専門家に作らせる訳です。受注した側はイメージを曲にしていきます。この点、シナリオと似た経過を辿ります。シナリオは物語を文字で出すという違いだけしかありません。
さて、管理者のオタ話はこれくらいにして、肝心の音楽をシナリオに活かす見方を考えてみたいと思います。
楽曲の基本構造はシナリオと同じ
映像の時系列に沿って進行するシナリオと、同じく時系列に沿って進行する曲の特徴は似ています。
媒体別の構造でも解説しましたがアニメと見た目似ている漫画や小説なんかより よっぽど音楽の時間進行のほうがシナリオっぽいのです。
どちらも同じ、始まったら終わりまでユーザーを縛ります。時間経過を観客に任せていません。なので当然ながら始まりから終わりまで時間経過を加味して設計しなくてはなりません。
で、どちらもドラマティックに変化していくのです。
楽曲の構造
一般的な、本当に例として挙げるだけの一般的な楽曲構造です。シナリオ的に言えば起承転結みたいなもので、現実と則していない例えです。ここでいう楽曲とはアニソンやJ−POP、ドラマや映画のタイアップで使われているもの中心の現代のポップスを元にしています。クラシックなどの基本理論ではありません。
基本形はだいたいこんな感じです。複数のメロディを変化させて次に繋げていきます。
イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→その繰り返し→アウトロ
イントロは出だしです。Aメロは序章、Bメロはサビへの繋ぎで、サビは美味しい所で、間奏で休憩をいれて2番に繋いで、それを繰り返します。
これは本当に単純なパターンで実際の楽曲は順番を変えてみたり、曲調を変えてアレンジしてあります。
これをシナリオの構成に置き換えると・・・
イントロはファーストシーンで、Aメロはターニングポイントに向かうアンチテーゼで、Bメロは葛藤で、サビはクライマックスで、間奏は余韻で、アウトロでエンディングを迎えます。
単純にザックリ分けただけですがこうなると思います。
で、ただこんな基本形だけでは音楽もシナリオも面白くならないのでアレンジしていきます。シナリオ的にいえば脚色です。
特にアニソンでは作品のインパクトをダイレクトに訴える為に、のっけからサビを持ってきて劇的に始まることがとても多いのです。
1発目にサビを持ってきてガツンと始まるのです。
そんなアニソンを数多く聞いていると、その構造も物語とリンクした作りになっています。そもそもオープニングやエンディングの映像に付ける楽曲なので物語の特徴やイメージがせいぜい1分ちょっとの尺に凝縮されています。
構造も多重化複雑化していてAメロとBメロだけでなくCメロ、時にはDメロまで作ってあったりします。
楽曲のアレンジではこれに限らず、聞く人が良いと思えることならばなんでも取り入れて工夫しています。
それはそれは3次元的な展開が用意されているのです。
曲のアレンジとは
楽曲のアレンジをシナリオ的に言えば脚色を施すことになります。
楽曲の要素をいくつか考察してみたいと思います。
サブメロディの存在
曲を聴いているとお分かりになると思いますが、主旋律 (歌手の歌うメロディ) の他にサブメロディの存在に気付きます。そしてサブメロディが曲の雰囲気を盛り上げます。
サブメロディが楽器によるものだったり、ボーカルの合唱だったりいろんなパターンがあるのですが、これがなければ面白くありません。
主役は歌手のメロディなのですが、それだけでは曲として未完成で、サブメロディが光を放ってこそ歌手の歌がもっと輝きます。
それはまるで相方の合いの手のように、時に独創的に、時に対立して、時に同調して主旋律に付き添います。
それも曲の展開に応じて一定していません。その時々に最適なメロディを選択しています。奏でる楽器や曲調も一定ではなく、気の利いた所に気に利いた音を入れています。
音楽を知らない管理者的に、もうこのあたりはセンスの妙技としか言いようがありません。
たぶん、編曲の技術があるのでしょう。紐解くとオブリガードとかフーガ形式が由来らしいのですが管理者は詳しくないので、アニソンの構造に詳しい方がいらしたら教えてください。
変調もする
1曲通して一貫した調子ではなく、盛り上げるためにバンバン変調していきます。それも闇雲にしているわけではなく、意図が必ずあるのです。
よく聴くパターンは、サビを引き立てる為にAメロよりBメロの調子をあえて落としておいて、サビでは一気に強い調子に戻します。メリハリをつけてサビに存在感を与えています。
そうかと思えば2番ではスムーズさを優先して流れを変えずに加速させたりもします。
そんな曲に気分が乗れないわけがありません。
最近驚いたパターンがあります。最初わざとボーカルを半音下げて始めます。当然、曲とボーカルが合っていないので聴いていて違和感があるのですが曲が進行するに従い徐々に追いついて同調します。
そこで感じるものは一体感の演出なのです。
なんか21世紀の音楽構成っぽくて気に入ってしまいました。
ただしこの方法はかなりの歌唱力を必要とすることも理解できます。でも、それが出来る人がちゃんと歌っています、坂本真綾さんとか。
歌詞にも物語が隠れている
歌詞にはシナリオ同様、物語性がふんだんに取り入れられています。それもなんとなく間接表現が利いているものが多いと感じます。意味不明な表現をしている場合もありますが、何らかの意味を短い歌詞の語句に込めて書いています。
作詞もシナリオと共通するスキルだと思いますが、シナリオよりかなりシビアな条件下で作られています。
ここでは作詞まで語りませんが、確実に言えることは
”間接表現のお手本” になるのです。
シナリオに応用してみる
簡単にはいかないとは思います。ですが何も無い所から発想しなければならない事を考えると音楽は大いに我々を導いてくれるヒントがてんこ盛りなのです。
やり方は人それぞれでいいと思います。
メロディに人物を当てはめてもいいし、曲の展開を構成に活かしてもいいのです。
音楽からの引用のいいところは、あくまで感覚的だという点です。
音楽は言葉ではありません。でも言葉よりはるかに伝わるものが多くて感情的なのです。
その ”感じ” を読み取ってください。
感じることはこんなサイトの文字情報やセミナー、シナリオスクールの講義なんかよりよほど雄弁なのです。
シナリオ、脚本は感覚業です。管理者はあまり言いたくないのですが実際の所、センスが問われます。
センスの無い管理者が言えることではありませんが、認めなければなりません。脚本家はセンスが無ければ務まりません。
そしてそのセンスは学べないのかというと、絶対にそんな事は無いのです。
でもセンスを学ぼうとする場合・・・センスに限らず ”学ぶ” ということをしようとした時にどうしても文字や言葉でしか伝える、伝わる、伝えられる方法が見当たりません。そこで理屈っぽく、それこそこのサイトのように理屈を並べるしかないのです。
本当は、センスはセンスから学ぶしかないのです。
服のセンスを磨きたかったら、いいな、と思う装いを数多く見て感じるしかありません。
ヘアスタイルやメイクを上手くしたいなら、上手い、素敵なヘアメイクをたくさん見て感じて、自分の物にするしかないのです。
カットやブローの技術的なことなんか後でいいのです。
優先順位は、まずいいものを自分に取り込むことなのです。
綺麗なお母さんの娘はやはりきれいになります。そういうことなのです。
この点、シナリオの場合少し勝手が違います。
それは表現自体が文章のままで表に出ない点にあります。
シナリオを完成しても映像ではない所詮設計図だということと、なにせ縛りの多い仕組みで書き続けなければならないこと、書式は単純でもその先はとても複雑な構造に成らざるを得ない現実があるのです。
シナリオは見ただけ、読んだだけで直感的に感じる前に注釈が多くて複雑なのです。さらにシナリオはシナリオを書いた人の意図が絡み合っていて、それが良いとか悪いとか評価し辛いのです。
上記のセンスの磨き方から導けば、良いとされているシナリオをたくさん読み込むことなのでしょう。そういう方法を提唱しているプロの脚本家さんもいらっしゃいます。
ここで注意したいのが、プロであろうと誰であろうと、シナリオに関しては鵜呑みに出来ない所なのです。もちろん管理者も含まれます。
人の書いたシナリオはその人の感性で書かれています。当たり前です。
参考にはなっても極一部しか使えません。
音楽からヒントを貰う構想法の利点は、感じるところから入る点です。感じ方は人それぞれです。その人が感じた所が出発点となります。これってオリジナルが作り易いはずなのです。
音楽から引用すれば、音楽は文字化されている訳ではありませんので、ぶっちゃけそのままシナリオ化しても、作れた時点で作者のオリジナルになります。
音楽の文字化なんて誰もやっていません。しかもそれは時系列に従うルールの上に成り立っています。
同じような土俵なので、とても引用し易いのです。
そこで自分の感性を磨きます。自分がいいと思う環境で勝負出来るのです。曲を聴きながら感じた事を文字化して行ける、それを続けていけば必然的に自分専用の創作が出来るはずなのです。
そう言った意味で音楽を参考にする方法を管理者はオススメするのです。
ただし、御自分がいいと思う楽曲だけ、参考にしてください。本音で好きな曲だけです。
良い、好き、が無いと更新しませんし、第一やっていて面白くありません。
スミマセン、また長くなりましたが最後にこれだけ言わせてください。
フレーズの組み合わせを見習う
簡単に解説します。
メロディとメロディの組み合わせ方も楽曲からヒントをたくさん貰えます。
アニソン歌手の 「ZAQ」 さんを御存知でしょうか。
彼女の秀逸な点はこの組み合わせが絶妙なところにあります。とても音楽に精通してらしていつも聴いていて凄いなと感じます。
フレーズのひとつひとつはどっかで聴いたことがあるようなパーツなのですが、彼女にかかると組み合わせがウマすぎてそれでオリジナルにしてしまいます。
音楽の構造美とでも言いましょうか。つまり作り方、シナリオ的に構成がとても上手なのです。
”組み合わせ” の化学反応は物語に3次元的な立体感を与えてくれます。
そんなことも感じさせてくれるのです。
シナリオはシナリオから勉強してもダメじゃないかな、と実感します。
管理者はそう感じるのです。実感です。
いくら秀作と言われるシナリオを読んでみても面白く感じません。
音楽、特にアニソンはオーダーメイドでいて、しかも編曲が大変豊かに出来ています。