アニメ化のお仕事|シナリオ教室の劣等生

アニメ化のお仕事

 

前の記事では原作サイドの考察をしたが、ここではアニメ脚本家が避けて通れない ”アニメ化” について配慮すべき事柄を考えてみる。

 

原作そのままは使えない事は前述した。そのまま使えなければ どこをイジればいいのだろうか。

 

 

 

 

原作の世界観に線路を引く

 

メディアミックスで他媒体=原作のあるものをアニメ化するということは多くの読者、プレーヤー等が持っている原作の価値観に一本の線路を提示することになります。

 

それも千も万もすでに存在する価値観にたった一本だけのアニメとしての物語を提示しなければなりません。

 

この難題を任されるのが主に脚本家なわけですがまず考えるべきことは、こちらの都合です。

 

こちらの都合とはアニメとして映像化する場合の絶対条件です。

 

どんな映像コンテンツにも ”尺” があります。これに納めなければなりません。
尺についていえば他媒体はけっこう無限大なところがあります。

 

小説は1冊1時間で完読・・・というカセはありません。
ギャルゲーは1時間で完結しません。

 

時間に縛られない媒体を時間に縛らねばなりません。
しかも無理やり感なく映像の枠内に収めた形にしなければなりません。

 

いや、素人の管理者がちょっと考えただけでも 「ムリ」 です。

 

確かに文章を映像化すると内容はかなり圧縮できます。
文字だと いっぱい書かなければならないところでも映像で人物が喋ると意外に短くなります。

 

それでも朗読映像を撮るわけではないので 映像としての物語を書かねばなりません。

 

およそ巨大な原作をアニメ化するには 簡単に言うと ”まとめWiKi” を書くか、全く新しいアニメオリジナルのエピソードを書くか、ということになります。

 

管理者の勝手な印象ですが、どうやら後者のほうがいいものが出来ているような気がします。

 

その昔、管理者は原作モノのアニメ化作品をバカにしていた時期がありました。
ぶっちゃけ面白くないのです。

 

原作の小説なり漫画なり、こちらが先に知っているところからアニメを見ると変に期待してしまいます。
気に入ったエピソードが出てきてその先の展開を知っているものだから 待ってしまいます。

 

これで面白ければ ”予定調和” というもので成り立ちます。

 

ですがその通りの展開になってもなんかモノ足りないのです。
つまらないのです。

 

今思えば それは当たり前なのですが当時の管理者含め、ただの観客でしかない人はそういう想いをしたことないでしょうか。

 

つまり ”まとめWiKi” では面白くないのです。

 

そんな原理を業界は知ってか知らぬか、最近は原作と全く違う見せ方をする作品に加工してあります。

 

つまり、「原作と勝負!」 なのです。

 

業界の方は「そんなの当たり前だ」というかもしれません。
管理者は「いやいや、昔は平然とやっていたでしょ、まとめWiKi」とツッ込みたくなります。

 

今は監督さん、脚本家さんの色を全面に押し出してアニメは 「これで行く!」 という強い意志を感じる作品が多くなりました。
もっといえばアニメの絵自体が原作のクオリティを越えています。

 

名前は出しませんが原作より明らかにアニメのキャラデザのほうがお上手なのです。

 

それでは なんでもありかというと そんなことなくて描写背景、登場人物の配置、性格は原作を踏襲しています。

 

管理者はあまり原作とアニメを見比べたりしませんが原作のキモ(セリフ回しだったり、キャラクターの個性だったり)は鉄板ルールとしてアニメにも反映させる配慮がなされています。

 

それでも難しい問題もあるようです。

 

 

 

セリフひとつとっても原作通りに書けない

 

例えば小説。

 

自分や相手を呼ぶ呼称として、小説ならサマになってもセリフとしては伝わらない語句がわんさかあります。

 

一人称 「私」 を ”それがし” とか ”よ” とか ”小生” とか ”ミー” とか ”〜〜ちゃん(自分の愛称)” とか・・・
 ”卿”と喋らせて伝わるわけがありません。漢字だって読めないのに・・・

 

二人称、三人称にしても同じです。
文章の文字としては格好もいいですし、人物の個性を表すのにとても役立ちます。し、か、し

 

映像、特に登場人物の存在表現の平らなアニメキャラクターの場合は 伝わり難い側面があります。

 

もっともアニメならではの印象を与えることができる場合もありますが、自分の呼び名、他人の呼び方ひとつとっても原作通りに喋らせて観客に伝わらないことがあります。

 

しかも、キャラクターの個性を表しているもんだから ヘタに変えられないのです。

 

ゲームにしても同じです。

 

キャラクターがてくてく歩いていてミョ〜な壺を踏んずけると ”タマは魔法の杖をゲットしました” とかありますね。

 

これをこのままの描写では意味不明な映像になってしまいます。
ゲームのプレーヤーは 「お、いいものゲットしたぜ」 で進めますが 映像ではそれがなんで必要か、何に使うのかまで見せなければ観客は納得しません。
使わない ”魔法の杖” は使わないならそれは余計なシーンとなってしまいます。

 

 ”知る人のみぞ知る” 楽しさは映像表現ではありえませんし、伝わりません。
そういう作品もありますが・・・

 

これをムリクリ行おうとすると 延々と説明セリフを言わせるか、延々とナレーションとかモノローグで知らせないと見ている人は分かりません。
想像するだにメンドクサイことになります。

 

映像の醍醐味でもあるリズム、テンポを無視してしまいます。

 

このようにアニメを含む映像は一連のシーンの流れで魅力を出しています。
原作は もちろん流れがあって作品になっているのですが アニメや映像のルールとは違うのです。
そして一話単位、シリーズ単位で一本の流れを設計するのが脚本家の腕の見せ所になるのです。

 

 

 

アニメ化はどっちかに成らざるを得ない

 

そもそも原作の尺はアニメ前提で書かれてはいません。

 

小説、漫画本の尺は原作者によるもの、ゲームの尺は制作者の意向、もっというとラジオドラマはラジオの放映時間によるもの
と同じタイトルでも全く違います。そしてアニメはアニメの尺に合わせて脚本家が加工します。

 

原作が大きい場合は削ります。 ”蒸留脚色” なんて教わりました。
逆に短い原作は なにかしら新たなエピソードなりを加えて大きくします。”拡大脚色” です。

 

アニメ化はこのどちらかになります。ぴったしの原作なんてありません、恐らく。

 

また、アニメ化では、というか同じタイトルを他媒体に焼き直す場合には前述の通り
原作者の意向も尊重しなければ上手くいきませんし、企画者の ”思惑” も当然絡んできます。

 

企画者の思惑とはメディアを変えて原作を拡張させるにあたり、なにがしかの思惑があって企画が立ちあがります。

 

メディアミックスにおけるアニメ化というものは広告媒体のひとつだというポジションがあります。

 

スポンサーだったり、企画者だったり、アニメ化は決して脚本家や監督の創作が最優先ではありません。
簡単に言うと、いくら加筆しなければならない原作でもスポンサーが車会社だったとしたら、
その会社の車に悪役を乗せてヒーローが攻撃して爆発させてはならないのです。

 

なんでもあり、ではありません。

 

原作をアニメ化する目的は脚本家といえども把握しておかなければ決定稿にはなりません。
管理者がプロデューサーでも制作目的を逸脱したホンは承認しないと思います。

 

そんな前提もあるのです。そこから発想しなければならないアニメ化は考察してみるとけっこう難しいと感じます。

 

シナリオスクールの脚色についての教えは 原作を通読する事、それも一気に通読すること・・・程度しか教えません。
無論、通読しないと訳が分かんないので当たり前として、やはり問題はその先にあります。

 

原作が長い場合は 「面白い所だけ」 抜き出すと言われます。
原作が短い部分は自分で考えます、と言われます。

 

これでは説明不十分なのです。

 

原作が長い場合、減筆でなく ”蒸留” と表すのは美味しい所だけ残すという意味になるのですが、
それでも原作に一定の面白くない所が存在して抽出が可能になります。

 

そんなところ、原作者だって考えて書いています。余分なところなんて基本ありません。
映像にならない部分、余韻を伝えたくてあえて文学的に ”間” をとる場合もあるでしょう。
つまんない表現でも何かの布石かもしれません。

 

それを脚色するには映像独自の表現に直す作業となるはずです。これは脚色ではなく差し替えです。そしてたぶん、減りません、尺は。

 

結局、原作を足したり引いたりしても元のイメージを損なうだけで それをアニメ化とは言わないと管理者は思うのです。

 

実際のところ、顕著に感じたのはアニメ化ならぬ ”映画化” です。

 

シリーズで放映された作品のダイジェスト版になっていることが多いのです。

 

それで面白ければなんでもいいのですが やっぱダメですね
面白くありません。

 

そりゃそうです。
1クール13話 映像23分として×13話≒300分で丁寧に描いたものを一気に120分以下に圧縮してしまうので
当然キャラクターの個性とかは描き方が不十分になります。物語をはしょってテンポが狂います。

 

みているこちらはわざわざ映画館まで行って、お金払って観て、「う〜ん」と唸って出てきます。

 

全部が全部検証してはいませんが、恐らくアニメで映画興行が優秀な作品はOVAか、
原作があってもシリーズ化されていても映画オリジナルの物語になっていると思います。

 

理屈はともかく、ダイジェストでは 面白くありません。

 

キャラチェンジもダメです。シリーズで定着したキャラクターの性格を尺に合わせて短絡的にしてみたり、
簡単に殺してみたり・・・
目を覆いたくなります。

 

脚本サイドの話に戻りますと、そりゃ思惑もありますが シリーズで好評で映画化されるのはいいとして、
残念な結末、残念な印象を与えるくらいならやらない方がマシですし本末転倒です。
その責任は何と言おうと脚本家はじめ制作陣の責任です。

 

原作のアニメ化、脚色にしても同じだと思います。

 

足したり、引いたりもいいのですが あくまで原作の意図をくみ取れなければアニメ化は失敗となります。
失敗したくなければ アニメ独自のオリジナルを作らねばなりません。

 

それが難しいのです。原作者含め全体の意志疎通がないと叶わないのです。

 

それでもそれが本質です。
面白くないモノ前提でも 結果で面白くないモノでも 作ってはならないのです。

 

管理者は期待して見た原作モノ、映画化に裏切られる恨みつらみが なぜか心に残るのでした。

 

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  • 小から大へ向かう
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  3. お話しの骨格を設定する
  4. キャラクターを作ってみよう
  5. プロット出しでアイディアを量産する
  6. 箱書きで構成を検討する
  7. 下書きシナリオ執筆
  8. 推敲と清書

第三章 お話しの作りはお手本からマネをする
  • 現実的な“マネ”とは

第四章 コンクールに応募する場合
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