アニメシナリオ脚本考察|シナリオ教室の劣等生

脚本家の親分、シリーズ構成

 

シリーズ構成とは複数の脚本家をまとめる役付きの様なポジションの脚本家である。

 

おおむねベテランの脚本家が指名される。

 

無論管理職的な役割もこなすが作品の方向性もこのシリーズ構成が決める。

 

監督直下のシリーズ構成に求められることとは単にホンが書ければいいというものではない。

 

シリーズ構成の役割

 

昔のアニメの企画は1年4クール52話が多かった気がします。
最近は1クール13話が主流で、ほかに2クール連チャンで26話とか、26話企画を第1期と第2期と分けている作品もありますね。
第1期が好評で第2期も、ということもあるようです。

 

制作会社の稼ぎ頭な作品として子供向けのアニメや長寿漫画原作なんかは300話越えとかになっています。

 

制作会社のみならず業界の屋台骨的な作品も目立ちます。

 

1年4クールは昔と変わらない時間軸ですから、単純に作品数企画数だけやたら増えていることになります。

 

さらにCSなどの放送枠の拡大によりますます仕事量だけは増えていく傾向にあります。

 

企画数が増えた分だけ当然スタッフは 毎度毎作品別に違う訳で、昔みたいに1年どっしり構えている時代でもなく、とにかくとても忙しいのです。

 

よって作画崩壊、放映の遅延、延期や、はたまた過酷な労働環境の末の人材不足、低賃金、アニメ業界単位での人材消失にも繋がっていくのです。

 

管理者が最近気になるのは、クール終盤にさしかかるところで明らかに”コンテが足らない”(管理者が勝手にそう呼んでいます)作品が多いのです。

 

つまり映像が動かなかったりカットが足らないで、セリフだけでどんどん物語が進んでいく、という現象も珍しくないように思います。

 

せっかくのクライマックス、エンディングが白けてしまいます。

 

それはともかく・・・

 

基本的に長い話数をこなさなければならないアニメ作品の脚本では「シリーズ構成」という役付きを与えられた脚本家が脚本部門を一括管理することが主流になっています。

 

長いと言っても1クールでもシリーズ構成を立てて複数の脚本家に分担させるのが今流のようです。

 

原作モノでなくオリジナルモノでは一人の脚本家が全話書いている場合もあります。ですが多忙を極める事が安易に予想出来てしまいます。

 

分担された脚本家は基本週1の放映に合わせて数人がエピソード別に担当を決めて書いています。
そうすることでスケジュール的に余裕が作れます。いわゆる同時進行です。

 

シリーズ構成はスケジュールやシナリオ上の問題に対処して物語としてのシリーズ全体の責任を持ちます。
ゆえにシナリオの技術が高いだけでは務まらずマネージャー的な要素も求められます。

 

そんなシリーズ構成は、いわば企画に携わる複数の脚本家たちの親分になります。

 

シリーズ構成はその上層部(プロデューサーや監督)が決めます。各話担当する脚本家の人選がシリーズ構成に任されているケースと、予め上層部がシリーズ構成を含め脚本家陣を指名するケースとあるようです。

 

任命されたシリーズ構成は物語の方向性を決めて指示してでき上がってきた各エピソードのシナリオを監修し、複数の脚本家の取りまとめ役になります。

 

各話担当脚本家の書いてもらう脚本に関する細かい指示を取り仕切ると同時に、脚本にまつわる窓口になったり、上層部の意向を反映させて修正させたり、時には脚本家サイドの防波堤になったりします。

 

物語全般を見通してテーマから脱線していないか、間違っていないか、物語全体の構成を行います。

 

脚本家の中でもベテランだったり経験豊富な方が任される、いわゆる脚本家の親分的存在なのです。もちろんシリーズ構成本人もエピソードを書きます。

 

管理者がアニメの善し悪し(好き嫌い)を吟味する方法の一つなのですが、シリーズ構成脚本家の作品を見て判断しています。

 

作品数の多い昨今は毎クール発信される全てのアニメ番組を全話チェックするなんて到底できませんので(やっている人も知っていますが)最初の第1話、第2話だけ見てみて面白い、興味ある、つまんない、好きじゃないを決めています。

 

全ての作品がそうではありませんが およそ、特に第1話はシリーズ構成の脚本家が書いたエピソードだったりします。

 

 「親分格の脚本家が書いたお話し」、この時点で食い付けなければその後は継続して見ません。

 

時間の無駄ですから。書いている脚本家はそれこそ大ベテランなはずです。
そんな方が書いた一発目のエピソードに魅力が無いとか有り得ませんので、その第1話を見れば自分に合うかどうかは判断出来る訳です。

 

無論、全話通して魅力が出ている作品もたくさんある事は知っていますが、こんなにアニメ作品が、良くも悪くも量産されている時代に第3話まで作品の特徴が見えないなんて悠長なことを視聴者としても言っていられません。

 

だからシリーズ構成の仕事はそのまんま作品そのものの評価にダイレクトに響きます。

 

管理者の判断だけが視聴者の意見ではありませんが、少なくともお話しとして面白いかどうかは既に第1話の時点で決まってしまうことは認めなくてはいけません。

 

作画がいいとか、音楽がいいとか、好きな声優さんが演技しているなど、アニメには他にも食い付ける魅力があるにしても、脚本家を志す視点で言えばこのくらい重い責任があるのです。

 

例えシリーズ構成でなくとも、その事を忘れてはならないのです。

 

 「アニメは第1話が勝負」 なのです。

 

シリーズ構成はホンが書けるだけではなれません。コーディネート能力もマネージメント力も要求されるのです。それが脚本家のなかでも出来る人と出来ない人がいます。

 

プロになっても、その先が必ずあるのです。

 

シリーズ構成として、シリーズを構成するときに気を付けたい所をまとめます。大先生諸氏のお考えなのですが意外にも当たり前なところが管理者は共感できました。

 

・各脚本家の書くエピソードがダブらないこと
・各話を継続して見ている視聴者に次のエピソードの予想がつかないようにする
・パターンの似たタイプのエピソードを連続しない
・一話完結の要素を入れて、一回コッキリしか見ない視聴者にも楽しんでもらえるように配慮する
・バラエティに富んだエピソードを並べる
・脚本家を選べるなら個性的な脚本を書ける人を選ぶべき
・脚本家を選べるなら”人間”を描ける人を選ぶべき

 

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