シナリオ、脚本の執筆法U
物語をはじめ、創作物には必ずテーマがある。
テーマとは作品を通じて「何を伝えたいのか」を設定するものだ。
あなたは何を伝えたいのか、それがなければ創作する意味が無い。
ここから、「書く」のではなく、「表現する」に変わる。
テーマ、ログライン、骨
テーマの設定
シナリオ執筆の出発点とは、まず一番小さいもの、それはテーマから始まります。
一発目は作品のテーマを決めることから取り組みす。
テーマってなんぞや、といえばそれは作品を一言で表した文言ということになります。
文章ほど長くありません。
ペラで言えば一行以内で収まる程度の文言です。
オリジナルストーリーのシナリオを書こうとするなら、それが例え何万文字にもなる映画級のシナリオであっても最初に設定するテーマとはこのようなたった一文の文言から出発します。
シナリオ創作とはすべからく小さいものから大きいものへ拡張させていく方向性で推移していきます。
テーマにどのようなことを書くのか、というと映像を通じて 「作者さんの伝えたいこと」 になります。
極短い文言、一言程度で作者の言いたいこと、伝えたいことを表します。
作者さんのメッセージやイデオロギーという捉え方も出来ます。
テーマ自体一言程度ではありますがその役割は作品作り通して一貫して存在するものであります。
テーマは何でも構わないものではありますが、必ずなくてはならないものでもあります。
最初だけ設定すればいいと言うことでもないですし、この先の作業を徹頭徹尾牽引するものです。
とても重要な物語の根幹を設定します。
テーマを物語の進捗に合わせて途中で変更することなんてあり得ませんし、そんなことをしたらお話が空中分解して、結局何言いたかったのか分からない作品になってしまいます。
テーマとはこれから作るお話の方針、指針になるものですから手が抜けません。
シナリオは変化を描くもの、とは以前のレクチャーでも言いましたが観客に映像を通じて変化を見せて何を伝えるのかといえば、このテーマということになります。
このことは忘れないでください、本当に重要なことですから。
テーマの役割としてはこれからシナリオを書き進めるにあたり、途中でアイディア出しに悩んだり困ったり、迷ったりした場合に帰せるべきはこのテーマになります。
テーマに沿ってアイディアやイメージを作っていきます。
あなたが書くシナリオの原始になるものです。
テーマに書かれることとは、短くて曖昧ながらも拡張性の高い文言にします。
スローガン、作者の心情、ポリシー、精神論、思考、嗜好、など作者さんが観客に伝えたいことが設定できます。
極短い文言ですので多くは書けません。
当然物語性もありませんし、人物の固有名詞も書けません。
作者さんが映像を通じて何を伝えるのか、それを一言で設定するものです。
それは言葉としては小さいのですが要素そしては大きいものです。
そして作者さんの言いたいこと、本当に思っていらっしゃること、嘘のない意見がテーマに向いています。
テーマ不要論について
余談になりますが、先日ネットでシナリオ指南されている方の記事を読みました。
その方は、初心者ならばシナリオを書く上でテーマの設定は不要とされていました。
それなりに根拠もあるのですが、確かにテーマとして何らかの指針を決めることは初心者であればいらないのかもしれません。
作ろうとしている物語だって、初心者ならばどうなるか、展開も読めないと思われます。
だから、最初にテーマを決めなくてもいいのかもしれません。
でも、テーマを決めないで、それでお話がバラけないのならそれでも構いません。
分解しないで最後まで作り切れるなら最初にテーマ設定を行わなくていいと思います。
あなたはどうでしょうか?
書き切れそうですか?
私的には、テーマ設定をしない方が難しいと感じてしまうのですが、いかかでしょう。
テーマについてもこのレクチャーではあえて例を載せませんでした。
なぜかというと、解釈をあなたに任せたいからです。
絶対にこうしなければならない、というものはテーマにありません。
あなたがどのような事を表現したいのか、その答えに例文は引用できません。
テーマ設定はあくまで作者が思っていること、考えていることを据えるべきなので、そこまで私は立ち入れないのです。
だから、テーマとはなんぞや、と思われるなら、先のレクチャーでも言いましたが2時間の映画を一言で表してみてください。
それがテーマの意味なので、そこからヒントをもらってください。
人の感じる部分は人それぞれです。
だから私はテーマを決めるとも決めなくてもいい、とも言えません。
それは作者であるあなたが決めることです。
私はただガイドするだけです。
私的にはテーマ設定はした方がいいと思うだけ、なのです。
引っ張られる必要はありません。
テーマからログライン
テーマが決められたら次工程、ログラインを設定しましょう。
テーマそのものは極短い一文ですので、そこからちょっとだけ拡張させます。
小から大へ拡張させる第一歩です。
書こうとしているお話をペラ2、3行で書きだしてみます。
ログラインではテーマに沿って、では一体どんな 『お話』 なのかを検討します。
ログラインって言葉はあまりなじみがありませんよね。
そこでログラインを説明するときに、私はいつもあるシーンを引用してこう言っています。
あなたが書こうとしているそのお話について、
あなたがお友達と雑談しているときに、あなたが「今シナリオを書いてるんだ〜」なんて話したとします。
するとお友達はこう言ってくると思います。
「へ〜すごいね、で、どんなお話書いてるの?」
この答えをペラ2行から3行以内で説明してみてください。
これがログラインの設定となります。
この場合、お友達にどんなお話書いてるの?と聞かれて、最低でもこれくらいはネタになるでしょう。
いつ、どこで、誰が、何をした。
何をした、まで話せるならその方がいいのですが、とりあえず3つの要素、いつ、どこで、誰が、は言えると思います。
ログライン自体の文章ボリュームも大して多くありませんので固有名詞なんかも入れられません。
極簡単で大雑把なお話の概要を設定するのがログラインです。
アイディアがあるのなら盛り込んでも構いませんがペラ3行以内程度がせいぜいかな、と思われます。
あくまでこれから拡張させるにあたり、たたき台となるものなので、
ざっくりと大雑把なものとしてこれから作り上げるお話ってどんなお話か、をログラインとして検討して設定します。
ログラインから骨の設定
骨ってなんだと思われますか?
よくわかんないですよね。
では話の骨格といえばわかりやすいでしょうか。
ログラインでテーマからちょっとだけ拡張させたものをさらに膨らまします。
膨らますとは要素を増やしていくということですが、いろいろログラインから増やせるところがあります。
骨を考えるとは、こうした物語に必要な基本的要素を与えると言うことです。
まずはけっこう見落としがちなところでもある舞台についてお話ししましょう
結構見落としている人がシナリオ執筆を甘く見ている人に多いので最初に言っておこうと思います
キャラクターが載るべき舞台を決めます。
舞台とはキャラクターが載っていないいわゆる背景です。
こういった一件地味な部分に映像の品質って隠れています。
いくら美しいキャラクターイメージがあってもその人が踊る舞台がなければ何にも始まりません。
物語とは舞台がなければ何も展開しないし何も起こりえません。
ですからログラインでお友達に話した中から舞台を決めましょう。
いつ、どこで、誰が、の要素に具体性を与えます。
これだけでは舞台設定にしてもまだまだ足りませんよね。
でも決めやすさから言えばこの程度からですね。
一足飛びにシナリオは書けないと申しましたがこうして小さい要素から段階を踏んで決めていくと言うことです。
骨の段階では基本的な要素に絞ってこの後工程で拡張するための準備をします。
必要と思われる基本的なお話のパーツを探していきます。
基本要素がうまく想像出来なければこう考えてみてください。
あなたの作ろうとしている作品ってファーストシーンはどうなっていますか?
それはいつの時代のお話で、キャメラがどこを写していて、誰が立っていますか?
そのフレームから必要な基本要素を抜き出してみます。
まずは舞台を決めないと先にも進めませんので、骨の段階で検討してみてください。