第7回 時間経過のつけ方
映像は画面上の動きが止まると、時間が止まった印象を観客に与えてしまう。
なので、時間経過を描写する必要がある。
『しばらくして』とか、『少し経って』などの表現はシナリオでは使えない。
文章では観客に伝わらないのである。
観客に時間を感じさせるものとはなにか。
シナリオの時間経過
タイトル法
字幕スーパーや全画面にはっきりと時間の経過を文字として挿入する方法。「1年後」、「○月×日」、「去年の春」など。
実話っぽい演出ができる、ドキュメント性がある。
ナレーション法
キャストの声、又はナレーターが声で音声に載せる方法。「あれから5年が過ぎました」、「昨日の俺」、「それからどした」など。
セリフ法、しりとり法
セリフとしてキャストに言わせる方法。前のシーンからの経過をセリフで説明する。前のシーンとの繋がりをしりとりに見立てたセリフ。
長時間の経過は実時間とのズレを感じさせやすい特徴がある。
小道具法
時間経過の分かる小道具を使う方法。時間が経過した事を想起させる道具(モノでも人でも)を使う。
時計、タバコの吸い殻の数、ビールの空き缶、すり減った靴、人の歳など。
日常にネタがたくさんあって、なおかつ効果的に描写ができる。
大道具法
時間経過は小道具だけじゃない。大きなものでも時間を感じさせることは出来る。
風景
柱と柱の間に風景を入れる方法。朝日、夕日、暗い街、まばらに明りのついたマンションなど
走り
走る描写で時間を感じさせる。電車や乗り物の映像を入れる。
※例外的ではあるが、柱に ”○走る新幹線” として時間を描写することが出来る。
風物
季節感のある自然モノ、イベントその他の描写。桜の満開、銀杏の紅葉、入学式、卒業式など。
カットバック法
1つの柱の中では時間は飛ばせないので、別の柱を1つ挟む事により時間経過を描写する。1シーンの中で進行している描写の中で、あえて違うシーンを挿入することで観客に時間のイメージを分かりやすくする。
思い出した時の描写で、思い出した内容をカットバックさせる、犯罪の種明かしで犯人の犯行シーンをカットバックで描写するなど。
シナリオ上では1つの柱○の中にカットバックの柱を立てる場合は ○を打ってからそのカットバックの場所を指定して”(カットバック)”と表するか、ト書きに”カットバック”と記する。
カットバックが終わって元のシーンに戻ったら ”○戻って” とするか、 ”○戻った柱を改めて書いて(戻って)” とする。
※シナリオにおける禁則事項
カットバック時のようなシーンの写し方を指定する場合でも撮影記号は使わない。F・I (フェードイン)、F・O (フェードアウト)、O・L (オーバーラップ)、WIPE (ワイプ)など。
※シナリオでよく見かける ” × × × ” は段落の区切りを意味するものだが シナリオスクールでは禁止されていた。
【課題】
今回の宿題のテーマは 「1年後」 原稿用紙6枚
最初の柱からキッチリ1年後までの変化を風物で描写する。1年経ったらこうなりました、的な。
答え:変化を考える。その変化を描写する練習。