シナリオ座学時間経過編U

時間経過はシナリオ初心者には難しいかもしれない。

 

なぜなら、映像の特性を理解していなければならないからだ。

 

いつも眺めている映像作品は、どのような原理で動いているのか。

 

それでもシナリオを書く以上、避けては通れない。

 

シナリオの時間経過と変化

シナリオには何を描くのかといえば、それは変化を描くものであります。

 

変化することと時間が経過することは密接に絡み合っています。

 

時間と変化は相関関係にあるのですね。

 

変化があるなら時間が経過していますし、時間が経過すれば自ずと何らかが変化しています。

 

変化が前提なんですね、時間経過って。

 

そもそもシナリオは変化の過程を描くものなので変化の前提となるものが時間経過となります。

 

無論、時間が経過しても変化がない場合もあります。

 

変化の無い時間経過

実は時間を切り取った正確な時刻って、つまりアルタイムのことですね。

 

これって正確な時刻を知らなければなければならないような事情でもない限り描く必然がありません。

 

時間経過というのは変化が前提なので正確な時間を示すだけでは不十分で、経過する前と経過した後を描かないと意味が通らなくなります。

 

時間経過って変化を描くこととイコールなんです。

 

経過を見せるとは、変化する前と変化した後を見せること、なんです。

 

アンチテーゼとテーゼの関係です。

 

時間経過とは経過する前と、つまりはアンチテーゼをみせておいて経過した後、つまりはテーゼを見せて、

 

『対比すること』 なんです。

 

簡単に言いますと前と後を比べることなんです。

 

しかも時間経過というものは、先に申しましたが、知らせるのではなくやはり 『感じさせない』 と描写にならないのですね。

 

感じさせるには観客が比べられるように前と後をシーンとして見せなければなりません。

 

おわかりになりますか?

 

つまりはシナリオに書くこととは、変化する前と変化した後を比べてみせること、にあるのですね、その変化の過程に時間経過が関わってくるということなんです。

 

カットバック

それらを踏まえて次に・・・

 

時間経過の効果について、シナリオではカットバックという手法がよく使われます。

 

カットバックとはシーンの割り込みのことです。

 

割り込むことで進行中の物語の時間軸に対比がつくれます。

 

つまりは観客に対してカットバックで比べる対象を見せることで時間が経過したことを感じさせることが出来ます。

 

比べることが出来るシーンをカットバックで割り込ませます。

 

そうすると観客は時間を感じることが適います。

 

時間経過と柱の特性

シーンの場所を指定する柱は、その1本の柱の中での時間ってあまり経過しません。

 

一本の柱は尺で何秒、とかの決まりはありません。

 

シナリオはシーン単位でしか描かれないので一つの柱は時間が経過する前提で書かれません。

 

時間に関しては固定感があります。

 

ですので実際の映像では物語の中で時間が経過することをシーンの変遷で伝えようとします。

 

つまり、柱を変えていくことで物語の流れ、時間経過を表します。

 

この場合の変遷とは私たちの生きている時間と同じです、単純に過去から現在を経て未来に向かう時系列です。

 

前提となる過去の柱があって、今書いている現時点の柱があって、次に建てる未来の柱があります。

 

そのようなシーンが時系列に従って流れている中で、一旦全く別のシーンを挿入したい場合に「カットバック」として他のシーンを記述することが出来ます。

 

つまり過去から現在を経て未来へ流れている時系列にカットバックを入れ込んで対比を作ります。

 

そうすると観客は比べてみることが目で見えるので時間を感じとることが出来ます。

 

回想だったり、現在以外の出来事だったり、今描かれている柱と全く違う場所での出来事だったりを挿入させたい時にカットバックとしてシーンを割り込ませます。

 

例えば、サスペンスのクライマックスで犯人が犯罪を犯した過去の現場のシーンをタネ明かしの途中で入れたい時にカットバックと指定してシーンを変えることが出来ます。

 

柱の対比をしたいときに使われるのがシーンの割り込み、つまりカットバックなんです。

 

今見せているシーンと、カットバックによる過去シーンを交互に見せることで時間が経過したことを伝えられる他にも、犯人の種明かしみたいな合理的な説明に使ったりします。

 

過去のシーンだけ、というわけではありませんが、対比の対象に今書かれている柱と違う時間軸が含まれていれば見ている人に対して比べさせることで時間を感じさせることが出来ます。

 

カットバックで見せるのは時間経過に限りません。

 

カットバックは同じ時刻に他の人のやっている動作を見せることで人物の対比も出来ます。

 

アリとキリギリスを例にとれば、アリが働いている時に、同じ時間でキリギリスは寝ていたりします。

 

この対比を描くことでアリは働き者でキリギリスは怠け者ということが観客に表せます。

 

カットがバックするんです。

 

つまりは過去に巻き戻るといった描写の他に、今現在進行しているお話の流れの途中で他のシーンを挿入したい場合、なんらか比べて見せたい場合にカットバックを指定してシーンの変遷に割込むことが出来ます。

 

カットバックは頻繁に使うので覚えておいてください。

 

ちなみにカットバックはシナリオでも許されている撮影指定ですが、他の撮影指示はほとんど出来ないと言っていいでしょう。

 

ついでにお伝えしますが台本などに記述される撮影記号のO.LとかF.IとかWIPEなどの指定はシナリオではカットの概念と同じく書けませんし指定も出来ません。

 

いろいろ時間経過の描写を言いましたが、時計を見せればそれがベターというのではないことが分かると思います。

 

時間が経過したことを何らか他の事象に例えて見せて感じさせることがシナリオの価値になります。

 

変化する最たるものは時間でもあります、時間は絶えず変化し動いていますが単に動いている秒針だけ見せても面白くもなんともないので違った形で見せていきます。

 

それをどうやって伝えられるか、感じさせられるのか、難しいですが楽しいところでもあります。

 

カットバックの記述

カットバックの書き方は至って簡単です。

 

単に柱か、ト書きの冒頭に、

 

(カットバック) と書くだけです。

 

よくト書きに書く、という方がおられますが、私は柱に直接指定を入れてしまいます。

 

カットバックは柱が変わる前提なので、最初にわかりやすく柱の冒頭に(カットバック)と書いています。

 

カットバックから元の時間軸に戻るシーンには(戻って)とか(元のシーン)とか書き入れてカットバックシーンを解除します。

 

カットバックの他にもカットバックに似たシーンの割り込みを示す指定で 回想 というものもあります。

 

どちらも同じシーンの割り込みを指しますが、バックするシーンが回想ならばそう指定します。

 

回想の場合も(回想)と指定したら(戻って)(回想戻って)などとして解除します。

 

他に 「フラッシュバック」 なんて書くこともあります。

 

何が違うのか、というと・・・

 

私の場合で恐縮ですが、カットバックは対比するシーンに物語性が含まれていたり、記述が長い場合にカットバックとしています。

 

カットがバックするんですが、どちらかというと 「シーンバック」 です。

 

フラッシュバックはもっと短い印象です。

 

一瞬だけシーンが切り替わるような場合にフラッシュバックとしています。

 

これもどちらかというと、これが本当のカットバック、カットとしてバックする、という意味になると思われます。

 

なぜ、このような指定をするのか、というと、柱を並べていく中でなにも指定しないでいきなり過去のシーンを入れてしまうと読み手が混乱するから、です。

 

また、シナリオは絶えず整合性が伴なっていないと、つまりは意味が通らないとそれは空中分解を意味しますので、例え後に整合性が整うような布石や伏線を描くにしてもこのような指定をしなければなりません。

 

観客に見せるときには謎シーンを置いてもそれは面白さに繋がりますが、制作者に対して書かれるシナリオにはちゃんと意図を伝えなければなりません。

 

記述の文言も、必ずカットバック、フラッシュバック、回想、と書かなければならないわけでもありません。

 

夢なら夢、妄想なら妄想と書いても構わないのです。

 

シナリオは書式のルールこそあれど、伝わらなければ、伝わりやすくなければシナリオの役目を果たせませんので、そのあたりは適宜考えて書き進めます。

 


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