シナリオ、脚本スキル|シナリオ教室の劣等生

シナリオのセリフ:アニメでは声が命

 

 

※このエントリーページで解説している ”セリフ” とは、映像コンテンツのものであります。
演劇、戯曲ではありませんのでご承知の上、お読みください。

 

シナリオを語る際にあまり分解して説明しない方がいいとは思う。

 

シナリオには一連の流れがあって、その流れはキャラクターの個性から広がるものだからだ。

 

キャラクターが喋るセリフは、原稿用紙に書く順番からいえば、柱、ト書き、セリフと最後になるが2次元ではご存じの通り、声優さんという声だけの専門職を据えてでもセリフを重要視しているし、そうしなければ話しにならない。

 

どんなにへったくそな絵でも声優さんが命を吹き込むとみちがえる。

 

でも、このセリフ、「しゃべりゃいい」ってものでもない。

 

セリフは大嘘つき

 

セリフについてはあまりにも要素がありすぎて説明しきれません。
同じ会話の言葉ひとつとっても状況や、それこそ人物同士の距離が変わっただけで喋る言葉が変わります。

 

そして動きに臨場感が出にくくて説得力に欠けるアニメ映像はセリフに依存する傾向が強いのです。

 

まさしく描いた絵に声を入れて、初めて ”魂” が入ります。
そんなセリフはちゃんと真実を述べているのかというと、全くそうなっていませんし、そうなったら大変つまらないものになってしまいます。

 

感情表現では真実は心の中のみぞ知るセカイなのです。

 

脚本家がキャラクターの動作を示すにはト書きとセリフしかありませんがト書きは誠実で真実味を持たせなくては説得力に欠けてしまいます。

 

ト書きはウソがつき難いのです。

 

意図しない限り、人の行動は基本ウソつきません。
 トイレに入って 「なんちゃって〜」 とかいって何も用を足さずに出てはきません。

 

対してセリフは、これはもう常識として刷り込んでもいいくらい、
 ”大嘘つき” なのです。

 

もっというと真実は喋らせてはいけません。本心は喋らせてはならないのです。

 

セリフはこの、本音と実際に喋る言葉の ”乖離” が楽しいのです。

 

本音と建前の ”建前” にセリフは属します。
本音と建前である言葉の距離があればあるほど、セリフというものは輝きを増してきます。

 

試しに、心の中の言いたい本音と真反対な言葉をキャラクターに言わせてみてください。うそで塗り固めたような形になるので本筋から脱線します。
そこからあらゆる方向に話が波及します。
当然言っている事と本心と違う訳ですから話の方向を正そうとキャラクターは葛藤を始めます。

 

このような状況はリアルでも当てはまります。何らかの事情で本音で喋れず偽って、後になってツジツマを合わせるのに四苦八苦します。
 ”口は災いのもと” とはよく言ったものです。

 

リアルに準じてキャラクターも同じようにして葛藤を追求させます。
そうしてリアリティをキャラクターに持たせないと感情移入ができません。

 

思っている事を素直に喋らないのが人間の大きな特徴でもあるのです。

 

良いセリフとは ”99%がウソで1%が本心” が理想です。

 

どんなウソをつけばいいの?
それは脚本家の腕の見せ所です。あんまりにもファクターが多すぎて管理者にもまとまりがありません。
書く人の感覚に頼るところが大きいのもセリフの特徴なのです。

 

仮にお話しの流れ全体が本当の本心しか言わない、喋らないとしたらどうなるでしょう。
もう違和感しか感じません。

 

会話の楽しみとはウソのつき合いで、見ている観客はそのセリフの意味を理解出来るから楽しく感じます。

 

ですからセリフとは、動作そのものは直接的な表現でも喋る内容は間接表現でもあるのです。

 

 

 

説明しているのに ”つまんない” セリフ

 

キャラクターが喋ったセリフにも ”面白いセリフ” と ”つまんないセリフ” が存在します。
それは聞けばすぐに分かります。

 

セリフがつまんなくなる要因から見ていきましょう。

 

つまんないセリフはいろいろありますが代表格は ”説明セリフ” です。

 

なぜつまらないのか、説明しなけりゃ視聴者に伝わらないじゃん、と思っている方はセンスがありません。
説明・・・ですからウソついちゃいけなくなります。状況にしろそのキャラクターの感情にしろ説明しなければ相手に伝わらないわけですから。

 

さらに説明している相手が登場人物ならまだマシで、
我々見ている観客に対して向けられたセリフは最悪です。

 

そういう最悪な状況にキャラクターを持っていったのは何を隠そう脚本家でしかありません。
意図した状況の説明なら(推理モノで謎の種明かしみたいな)特殊なケースであれば許されるでしょう。
でも、特に感情に関することを説明することは、人として常識的に言わないのです。

 

言うとおかしい(面白いではない)表現になります。

 

そして無機質でつまんない印象しか与え無いと同時に観客の想像力を刈り取ってしまいます。

 

感情を演ずる側も、見る側も、感情を共有してナンボの映像コンテンツにおいて、
説明セリフは一方通行な、相手を意識しない文章でしかありません。

 

つまり、説明セリフは、本来セリフではないのです。

 

セリフは本心と喋る内容とのギャップに面白さがあり、このギャップが感動すら呼び込みます。
破壊力が物凄く強いので面白ければ感動を与えられ、つまんなければそもそも喋らない方がマシになります。

 

説明じみたセリフには意識して避けて、それとなく理解できるセリフに置き換えるか、
ト書きで具体的に動作として表現するべきなのです。

 

そして説明セリフは現代のリアルな我々に既に根付いています。
ご存じないかもしれませんが、意外と深層意識に刷り込まれているのです。

 

それは時代的コミュニケーションの変遷から来ているのですが
今どきは昔に比べ文章で意志疎通を図ることがめちゃくちゃ多くなりました。

 

 ”メール” です。

 

文章によるコミュニケーションが悪い訳ではありませんが、セリフを考える場合には意識して注意しなければなりません。

 

なぜなら、文章はウソがつけない・・・のです。

 

いや、いいんですよ、ウソついても。
でもメールで送った目的が遠くなるでしょ、それでは意味を成しません。

 

ご覧になられているネット上の情報もそうです。動画もありますが基本テキストです。
そんなわけで現代人はあらゆるところでウソが許されていません。

 

その感覚でセリフを考えるとどうしても直截的な表現になりがちなのです。
ですから気を付けなければなりません。

 

気を付けて説明セリフをキャラクターに言わせないように設計しなければなりません。
我々は現代っ子なのです。

 

 

 

面白いセリフの条件とは

 

なんでしょうね、面白いセリフの条件って。

 

シナリオを書くといつも悩みます。そんな気の利いた言葉なんかそんなに出てこないって!

 

でもセリフがなければサイレント映画みたいでアニメには合いません。なんとかウマいセリフを考えなくてはなりません。

 

そしてそのキャラクターをセリフで彩らないとせっかくのキャラクターが死んでしまいます。

 

と、その前に条件を確認しておきましょう。

 

 

尺が限られている

 

つまり、無駄なおしゃべりは出来ない、そんな余裕はない事実です。

 

よく、日常会話的な描写を永延書く人を見かけますが (スクールでです) 
「それってなんか意味あるの?」と思いますし、他にもそう思っている人も多いのではないでしょうか。

 

ご存じの通り、映像コンテンツには時間的な制約が存在します。ある程度無制限な小説みたいな文章コンテンツとは違います。なので、本当に必要な、厳選したセリフしか書けないハズです。

 

実際にシナリオを書いていると 初稿はけっこう膨大になります。推敲にてセリフを吟味しつつ縮めたり削ったり言葉を変えたりする訳ですが
気付くことは 「無駄なセリフばっか」 ということです。

 

もう、嫌になります。

 

でも原稿用紙20枚と決められていたらそれに従うべきです。シナリオスクールでは20枚と枚数で決められていましたが
実際の現場は時間、尺という縛りに絶えずさらされるのです。

 

オリジナルシナリオだから枚数無制限にはなりませんし、そんなシナリオ書いてはいけません。
必ず相手がいるのですから独りよがりのシナリオはシナリオにあらず、です。

 

 

セリフが長いとクサくなる

 

長セリフは避けましょう。

 

理由はリアリティもそっけもなくなるからです。
我々リアル会話でもそんな長い言葉は言いません。

 

どんなに長くとも原稿用紙2行分くらいに留めるべきです。

 

管理者は長いセリフを聞くとクサく感じます。もちろん意図して演出として設計されていれば問題ありませんがセリフが長いと説明じみてきます。

 

もっと端的に表現は出来るはずですし、その方がセリフらしいとは思いませんか。

 

クサくならない長セリフの表現方法も無い訳ではありません。この場合、かなり演出を工夫しなければなりません。演出は脚本家の仕事のパートではありません。
この問題はまた他のページで考えましょう。

 

 

セリフには ”理由” がいる

 

これはセリフに限りませんがキャラクターの喋る言葉にはウソにしろ本心にしろ意味があります。

 

意味とは ”理由” とも訳せますがこれがないとセリフは面白くなりません。
つまり裏付けです。

 

 「ふん!アンタなんか大嫌い!」

 

こんなツンなセリフよくありますよね、でもこれだけだと意味が分かりません。
そこには必ずキャラクターが発した言葉の意味、理由があるはずです。

 

逆に意味や理由が無ければ そのセリフは言わせない方がいいのです。

 

そうしないと観客が納得しません。この前提のもと、お話しを設計します。

 

セリフは大嘘つきと説きました。それは大嘘をつく理由が存在して初めて成立します。
やみくもに大嘘つかせろと言っているのではありません。

 

キャラクターが大嘘をついてまで、自分の信用も失いかねないのに、それなのに大嘘をつく理由、そこに観客は食いつくのです。

 

この理由付けには本当に腐心します。もうシナリオの命と言っても過言ではありません。

 

もちろん ”お楽しみ” 的なセリフもあっていいのですが
メインはそのセリフの意味は、意図することはどんなことなのか、それが強いては物語の根幹、テーマに繋がっていくのです。

 

ですから 侮れません。

 

 ”理由” はセリフだけではないと申しましたが、ト書きにも物語の全体設計にも関わってきます。
そのお話は個別のエントリーページで致します。

 

先人のお知恵を拝借します

 

理由がいる

 

耳(聴覚)から入る描写、つまり画像がない

 

実は意味が伝わらないほうがいい場合だってあるピカピカ、

 

喋らないことで伝わるものが拡張される事も考慮すべき、ベラベラしゃべくり合わない方がいいこともある

 

セリフは怖いと知れ、そのシーンに本当に必要か、余計か

 

言いたいことを言うのがセリフにあらず、言いたい事を言わないのが上手いセリフ

 

セリフは相手のセリフと絡みを含めて連続性があってドラマとなる、演技となる

 

セリフに限らないが、よく周りを観察する、平凡な殻かぶって個性的な人がたくさんいる、つもりだけでも付き合う気持ちを持とう

 

異性は無視できない、これマスト

 

セリフは基本一発勝負、日常会話に練習はない、そこにリアリティが生まれる

 

キャラクターの個性

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