シナリオ座学時間経過編T
シナリオは変化を描くものである。
変化と時間経過を切っても切り離せない。
時間経過はどんなシナリオでも必ず描かれる。
人と時間は密接に絡みついている。
誰も正確に時間を計れない
描写編ともつながってきますがシナリオでは時間経過の描写が頻繁に使われます。
我々と時間の経過は切っても切り離せないファクターであります。
特にシナリオを使って表される物語って我々の生きる時間で書かれる場合がほとんどなので時間経過の描写は避けて通れません。
時間って私たちは生きる上で必ず、毎日、いつ何時でも関わってきます。
時間と人間って密接に繋がっています。
ですが、そんな密接な割に私たちは正確な時間って分からないですよね。
時計とかのなんらかの道具を使わないと今何時?すら自覚できません。
時計などの道具を使わずに私たちは日頃どうやって時間を知るのか、それはやっぱり感じるしかないのですね。
それが人のデフォルトなんです。
それでは生活に支障が出るので時計を用いて正確な時刻を基準とします。
本当は人であるならば正確な時間は誰ひとり計れない、
あくまで何らかの事象で感じなければ大雑把な時間すら分からない生き物なのです。
シナリオにおける時間経過とは、その感じる部分を描写として見える形、聞こえる形で表現します。
タイトル法で時間を提示する
まずはタイトルで挿入するやり方があります。
テロップやスーパーで時刻そのものを表示することが出来ます。
キーファー・サザーランドが主演した 『24』 などは時間を提示することに加えて、デジタルで秒の動きまで見せると時間経過の他に緊張感も表現出来たりします。
時間経過そのものを文字として見せるやり方ですね。
Nで説明する
ナレーションを使って音声で伝えることが出来ます。
極短いナレーションを入れて時間や経過を知らせます。
ナレーションってこういった事務的な情報伝達みたいな使い方がとても便利ですが、演出によってはその声に演技が載せられます。
単に時間経過そのものを言わせるのではなく、「桜の咲く季節になりました」のような季節と風物を合わせて情緒的な描写も可能となります。
感情を込めたナレーションにより、観客を引き込むことが出来ます。
人物のセリフに盛り込む
同じ声で伝えるやり方として役者にセリフで言わせるというのもアリですね。
これって一番ポピュラーな気がします。
ただセリフって、私たちのしゃべることと同じなので「結果的」に時間だったり経過というものを伝えるような台詞回しをしなければ、セリフとしてとても違和感が生じてしまいます。
ダイレクトに時間を唱和するようなシーンというのもアリですが、さりげなく人物の会話の中に入れ込みます。
セリフに時間や経過を載せるときには、さりげなくやらないとクサくなってしまいますので工夫のしどころでもあります。
小道具、大道具によるもの
小道具や大道具による時間経過も王道で非常に有効的です。
時間が経つと変化するものってたくさんありますよね。
氷は溶けるし、ラーメンは延びるし、食品は腐るし、株価は上がったり下がったりします。
そういったものを比喩として見せることで観客にどれくらい時間が経過したのかを感じさせます。
場面を固定した経過
柱だけでも時間の経過が表せます。
同じ場所で柱の時間指定を(朝)から(夜)とするだけで単純に時間が経ったことが伝わります。
例えば、コンサートの様子を思い浮かべてください。
ライブ会場で満員の観客を前に歌っている人物のシーンを、柱を変えないで夜とします。
そこに今まで歌っていた人物が誰もいない暗い客席でひとり座っているいれば、時間が経過してライブが終わった、ということを表現出来たりします。
乗り物によるもの
早さを見せたいのなら新幹線の車窓を描写すれば猛烈なスピード感というものも表現出来ます。
のんびりした情景を写したいのなら歩く馬の背に乗っていれば流れる風景はゆったりとなります。
また、同じ馬でもメリーゴーランドの馬ならば風景に楽しさと言った雰囲気も出せるでしょう。
風物、季節感によるもの
風物によって時間経過が表せます。
特に我が国は四季の移り変わりがハッキリしています。
大変恵まれた国に生活しているわけですが、
季節によってその季節を表す事象、風物というものがたくさんたくさんあります。
夏になれば蝉が鳴きますし、年末になればサンタが空を飛んでいるような比喩表現もできます。
街路樹の銀杏だって新緑の頃から実をつける時期があって、黄色く色づいた後に落葉して行きます。
そういった見た目に変化があればそれは時間経過に応用が効くはずなんです。