シナリオ、脚本のキャラクター造形T
シナリオの命運を握るキャラクターはどうやって作るのだろうか。
それも作品によってキャストの数は50人を超えたりする。
その場合、50人前の造形をしなければならない。
それでも始まりは、たったひとりから始まる。
初めは少人数から
やっぱりシナリオは人物を描くものですのでこのキャラ造形というのは外せません。
他にも外せない要素ばかりですが一通りシナリオってどんなもの、どんな書き方しているのかが大雑把でも掴めたのならキャメラのメインターゲットたるキャラクターのお話をしないわけに行かなくなります。
どうやって人物というものを作り上げるのか。
まず、あなたが初心者ならばシナリオに登場させる人物は極少ない人数から考えてみてください。
私がスクールに通っていた時に、当然ながら周りにいる人は初心者ばかりです。
シナリオというものをこれから勉強する人たちです。
無論、書くことも読むことも発想することも、何もかも慣れていません。
そこへもってきて課題のシナリオに登場人物を10人とか設定する人がいます。
書かされるシナリオのボリュームもペラ20枚程度です。
映像の尺で言えばせいぜい10分かそこらしかありません。
そんな短いシナリオで10人も設定したところで登場することすら難しくなります。
こんなこと、シナリオを書いたことがなくても想像に難しくないにもかかわらず、なぜか大人数を設定するんですね。
案の定、そんな人の書いたシナリオを聞かされてもやっぱり誰が誰だかわからないまま終わります。
キャラクター造形が初めてならば、はじめは少ない人物でやってみて、ある程度個性付けなどが実感できたら複数人数に段階を上げていきます。
なんとなくいつも見ているドラマや映画みたいに書いてみたくもなるでしょう。
でもそれは無理というものです。
こう言えばお分かりになると思います。
たったひとりの個性も書けない人が10人の個性を描けといわれても、それは無理があるでしょう。
だからひとりからはじめます。
誰にでもできるたったひとりの造型法
ひとりの人物をイメージしてその人ってどんな人、を考えます。
キャラクターの造型法はたくさんありますし、いろんな人がいろんなことを言ってますが、
私的にはまずひとりから始めるということと、そのひとりはあなたの知っている身近な人から発想していきます。
この知っている人、知り合いですね、身近な知り合いから発想するにあたり条件があります。
モデルの条件
一つはその人の性格までよく知っていること。
一つはその人が次に何をやるのか予想が出来る人。
一つはあなた自身の味方であり、あなたが好きな人です。
嫌いな人はやらない方がいいと思います、嫌いな人だと余計な感情が渦巻いて造形が空中分解します。
親御さんでもいいし、恋人や旦那さん、奥さんでも構いません。
そのような人がひとり決められたらその人の特徴をメモに書き出してみてください。
性格や癖、好きなところ、ダメなところ、容姿の特徴や声の感じ、いつもやっている仕草や動作、こう言ったら必ずこう返すみたいな 『その人らしさ』 というものを書き出してみてください。
ちょっとだけでいいです、書き出す分量は少なくても構いません。
書き出せたのならその人に名前を付けましょう。
元から知り合いのその人には当然名前がありますよね、その実名はおいといて・・・
あなたがその人を思い浮かべてみて、その人らしいあなたが考えた名前を付けてください。
そうすると、できあがりです。
ひとりのキャラクターの造形が完成しました。
え〜と思われるかも知れませんが、実際にあなたのオリジナルキャラクターになっています。
あなた独自のオリジナルキャラクター
そしてそのキャラクターはあなたの書く物語の主人公になり得る資質を持っています。
あなたがそのキャラクターのやることなすこと、こう言ったらこう返すみたいなリアクションも想像できます。
そのキャラクターらしさをあなた自身が理解されているから、あなたのメインキャストになり得るのですね。
シナリオに書かれる物語って必ず序列があります。
序列のトップは主人公になります。
主役はただ単に上にいると言うことだけではありません。
そのお話は誰についてのお話なのか、それは主人公についてのお話となります。
主人公の物語、なんですね。
そして描かれる個性というものも、背景や関係性についても主人公が一番多く描かれます。
その物語では主人公が王様なんですね。
そういった人、たったひとりの主人公から物語って始まるものです。
主人公が何をさておいても一番に描かれて、脇役以下は序列に従い主人公を超える描かれ方はしません。
人物の描かれ方は序列が下がるに従って薄まっていきます。
一番描かれるのが主人公と言うことです、映像に映る時間もセリフの機会も登場頻度も物語の中で一番多いのが主人公なんです。
いきなりファーストシーンまで作れてしまう
そして主人公になり得るキャラクターが描けたら、
今度はそのキャラクターらしいシーンを思い浮かべてそのシーンに載せてみましょう。
どんなシーンでも構いません。
会社のシーンかも知れないし、車に乗っているシーンかも知れません。
はたまた寝ているときのシーンかもしれません。
どんなシーンでもいいので、あなたが思うその人らしいシーンを思い浮かべて載っけてしまいます。
それがあなたの作品のファーストシーンになりうるのですね。
そしてそこから物語が始まるのです。
オリジナルキャラクターを拡張する
いかがでしょうか、うまくイメージ出来たでしょうか、ひとりなら簡単でしょ。
私的に簡単にキャラクター造形できる方法を申したつもりなんですが、
こんな感じで造形したキャラクターに対してあなたはこう思うかも知れません。
「いやいや、こんなキャラ、ちいとも面白くもなんともないよ」と・・・
そうしたら、何か不足や問題を感じたのなら、その部分だけ変えちゃえばいいだけのことです。
キャラが立ってないとするならば、簡単なのはその人の外見を変えることです、。
変えると言っても全部変えるわけではありません、一部だけちょろっと変えてしまいます。
メガネを掛けさせろ!
例えばメガネを掛けていないのならメガネを掛けてみます。
メガネを掛けているのなら反対に外してみます。
そうするだけでキャラクターの印象というものがガラッと変わって見えるはずです。
メガネに限りませんがこういった細かいディテールを加えたり引いたりして造形を行っていくんですね。
キャラクターはオリジナルでなければ
キャラクターに必要な要素をお話ししましょう。
はじめにキャラクターはオリジナルでなければなりません。
やっぱりどこかで見た映画のキャラクターを真似してもつまらないですよね。
どこかで見たことのあるキャラクターを真似てシナリオを書いてみても真似の範疇を超えません、シナリオの価値としては低いものとなります。
シナリオはオリジナルでなければ価値がありません。
この原則は忘れないでください。
モデルの人選
イメージキャラクターなんて言葉がありますが、
テレビで見るような有名人や俳優、世間一般に知られている人をモデルとしてそこから造形を図るということは、あるっちゃあります。
でも画面に写っている人って、それは誰かが作ったイメージであって、そんなものをモデルにしたところでパクリと言われるだけです。
映画で見たキャラクターならば、それは脚本家だったり原作者だったり、監督さんだったり、誰かが発想したキャラクターでしかありません。
そういったキャラクターを想定してみても真似を超えるものではないのです。
しかも、オリジナルキャラクターを考えることは決して難しくありません。
性格もよく知らない有名人なんか使って、テキトーな想像で造形するよりむしろ簡単です。
ちゃんと自分で考えた方がいいですよね。
オリジナルの造形自体、なんだか難しい印象ですが分かっちゃえば人の拡張性なんて無限にあるようなものなのでオリジナルを決めることは楽しいし、可能なことです。
お知り合いから造形したキャラクターは、ああいった作り方をすればデフォルトでオリジナルになるからやってもらいました。
シナリオは工業製品ではありません。
同じものは作れないし同じにならないからオリジナルに価値があります。
だからあなたの作品はあなたから発想されたオリジナルでなければならないのです。
オリジナルでなければ何になるかというと、真似やパクり、オマージュやインスパイアなど言い方はいろいろありますがそれらは単に価値としては低いんです。
だからあなたが書かれるシナリオには、例え初心者であっても自分で考えて自分で発想しなければ、オリジナルでなければ価値がないのです。
どうせ苦労して書くなら価値の高いことやってください。
そしてこの先上手い人の真似はするんですよ、するんですけどもやり方も書き方も知らない人がそれを行うと真似のまんま、コピー程度で終わってしまいます。
それでは取り組む意味がないので、稚拙でもいいし、長くなくてもいい、頭数も少なくていい、
オリジナルにこだわって頂きたいと思います。
スクール時代に教わったことでキャラクターを造形する場合に、先ほど申したイメージキャラクターをモデルにするという方法を教わりました。
教わったんですがそれって実際にやってみると使える方法ではありません。
私は身近な人、よく知っている人、好きな人から造形してくださいと申しました。
これってよく知っている人ならばその先の展開が読めるから、読みやすいからそうしてもらいました。
好きな有名人だから、程度でモデルにした場合、じゃあどこまでその有名人のことを分かっていますか、知っていますか?ということです。
たぶん上っ面程度しか知らないし会った事もないと思います。
会って話したことがあってもその人の人柄までは知るよしもないでしょう。
まして外面を売り物にしている有名人ではモデルとして役不足です。
これではモデルになりません。
なぜならリアクションが読めない相手だからです。
映像を通して知っていたとしても、
そんなの誰かが作った何人ものフィルターが掛かったキャラクターでしかありません。
リアクションが読めたとしてもそのリアクションは誰かが考えたリアクションであり、有名人はただ単に演じているだけなんです。
そこへ持ってきてスクールでは有名人をモデルとしてのキャラクター造形を推奨していました。
これっていかがなものでしょうか、パクりなさいと言っているのと同じです。
キャラクターの造形にしてもイメージ作りにしてもいきなりは出来ません。
でも間違いないやり方を繰り返していれば出来るようになります。
キャラクターを作るには展開の先が読めないと作れません、当たり前です。
それにはオリジナルでイメージを膨らまして積み重ねていかなければならないのです。