シナリオ、脚本の執筆法V
シナリオの執筆の作業で大部分を占めるのは書くこと、ではない。
「考えること」である。
イメージを出すこと、アイディアを考えること、
これが主な執筆作業だ。
お話の骨から太い骨
お話の太い骨とはですね、何のことか、といいますと・・・
ログラインを元にしたお話の骨、つまりは今決められる物語の基本要素というものを検討いたしました。
ログラインから骨を考えるときにまだまだ決めなければならない要素も感じてこられたと思います。
そこで太い骨では骨よりもっと突っ込んだお話の要素を与えていきます。
つまりログラインから考えられた骨は細い骨でしかないんですよね、基本要素だけなんで。
それに具体性を与えて骨太にしていく、ということで太い骨。
ここから一気に考えることが多くなって参ります。
すでに執筆は始まっている
で、改めて今更なんですけれど・・・
一番最初のテーマ設定からはじめたじゃないですか、もうその時点から執筆作業に入っていますので・・・
気がついたところ、検討しなければいけないところ、イメージを出していかなければならないところは、なんとなくでいいのでやっぱり考えはじめて頂きたいんですよね。
で、骨のような基本要素というものも、なかなか探しても見当たらないんですよ、最初のうちって。
具体案が決まってないのでわからないんですよね。
ですので、思いつく限りで構わないので、こういうことが必要だよな、ということは作業を中断してメモなんかに書き寄せていきます。
どんどん自分から出していかなければダメなんですよね。
考えているだけだと忘れちゃいますから、思いついた段階でメモとかに出力してみてください。
そしてここまで来るとそろそろ検討しはじめなければならないことがやっぱりあるんですよね。
太い骨と語り口
それが語り口を考える、ということになります。
お話の筋そのものを考えないと太い骨にしても先に進めないんですよね、ですので具体化に向けて準備しはじめます。
太い骨と語り口のお話をする前に、構成のレクチャーでプロット出しという作業を紹介しましたよね。
物語の筋を考えるという意味ではプロット出しも一般的です。
私は個人的にプロット出しという作業をこの段階までにまとめながら、さらに詳細まで書いちゃいます。
私としましては発想段階でプロットというものに縛られたくないからそうしているのですが、
その方がやりやすいと思うからなんですけれども、もしプロット出しをするんだったらこの段階までになります。
あなたがプロットを先に出した方がやりやすいと思うなら絶対にその方がいいですよね、構いません。
あくまでシナリオ執筆とは書く人のやりやすい方法で書くべきですので思うままに書いて頂きたいと思います。
続きです、太い骨と語り口を考えてみましょう。
骨の段階で舞台を決めましょうなんて、例として舞台設定を持ち出したんですけれども、骨では3要素くらいしか決めませんでしたよね。
いつ、どこで、誰が、でしたね。
その要素にもっともっと付け加えていかないと舞台の設定にすらなりませんので足していきます。
さらに物語の展開が見えないと先に進めないので話の流れ 「語り口」 というものも考えなければならなくなります。
語り口を考えつつ、骨として考えられる基本要素、太い骨としての拡張要素を考えます。
「考えます」なんて、サラッと簡単に書いていますが、このパートのボリュームが本当に大きいのです。
いっぱいあるんですよね。
考えることが増える、なんてものじゃありません。
爆増です。
例えば起伏は何個おくのか、どんな葛藤を与えるのか、主人公に浴びせかける問題や矛盾とはどんなものなのか、克服すべきは何なのか、
人物の配置は、エピソードはどんな内容?何個置くの?、キャラクターは何人でどんな人を置くの?
そもそも主人公のキャラクターデザインってどうするの?今思いつくだけでいろいろあるんですよね。
物語を動かす前に決めなければならないことがてんこ盛りなんですよ。
骨を検討しつつ、語り口というものも合わせて検討して必要な要素を見いだして、太い骨として設定をどんどん詰めていく、ということになります。
ここまで来ると創作になってきます。
語り口とは
語り口とはストーリーテラーのことです。
骨や太い骨で検討したたくさんの物語のパーツに筋を与えてつなげていくことです。
筋として組み立ててどんな展開をしていくのか、を具体的に考えるパートになります。
有り体に言えば小さいお話を考えてつなげる順番を考えると言うことです。
もっと簡単に言えば物語のあらすじを考えることです。
だったら語り口なんて言わないであらすじって言えばいいじゃん、ということになるのですが・・・
シナリオのあらすじって世間一般が承知しているあらすじとはちょっと違います。
故にあえて語り口と申しています。
シナリオのあらすじについてはもっと後のレクチャーでちゃんとお話しします。
例えるならあらすじということです。
画面に写るシーンの順番といってもいいでしょう。
語り口を考えるとは物語の筋、つまりはシナリオですよね、を検討するということです。
気を付けて頂きたいのがテーマに沿っていますか、ということです。
作業中いつ何時においてもこのテーマに沿っているのかどうかはチェックしなければなりません。
さらに語り口を想定するにしても見ている人が変化を感じなければなりません。
変化を感じられるような見せかたを検討しなければなりません。
その変化が何を意味するのか、それがテーマと合致していなければなりません。
このような事柄はシナリオ役割でもありますので配慮してください。
そうは言ってもまだまだイメージの初期段階です。
すべからく決定の必要もありませんし、あ〜でもない、こう〜でもないと考えていく段階です。
ざっくりでいいんです。
とりあえずでいいんです。
いきなりイメージせいって言ったってそんなの出てきません。
だから要素として仮に決めといて、仮に考えた語り口に載せられるくらいまで発想を膨らましていきます。
仮でいいんです。
ただざっくりでもとりあえずでも仮にでも決めていかないと、いつになっても終わりません。
語り口を通じてどんな変化でテーマを伝えるのか、どんな順番でで見せていけば伝わるのか、できるだけ詳細まで検討します。
そして、次工程からは具体的なイメージ作りに入ります、アイディア出しをやっていきます。
盛り込みたい要素はこの段階で検討しておきましょう。
決められることは決めていきます、考えられることはできるだけ考えてなるべく具体化してしまいましょう。
ここまで来るとやったことない人にとってはかなり難しいかもしれません。
それにしたってやっぱり、いきなりは誰がやっても出来ませんし、構想の初期段階であることには変わりありません。
たくさん考えることがあります、思う存分あなたが表現したいことについて考えてみてください。
あなたの物語について、あなたの好きなように発想してみてください。