クオリディア・コード|シナリオスキル
今回のお題は
「クオリディア・コード」から読み解く仲間と書く、です。
今回はちょっとアニメコンテンツと言うよりも作者側のお話しになります。
シナリオスキルに通じます。
最初に作品紹介。
クオリディア・コードのアニメ版は2016年に放映されました。
監督はかわむらけんいちさんで、脚本はSperkeazyです。
メディアミックス作品のオリジナルで特に小説、ラノベですね、が主な作品です。
ラノベ作家が書いたのでそうなります。
お話しは世紀末モノですね。
破壊された未来の日本のその後を描く物で要素として学園モノ、バトルモノ、ラブコメモノがあったりします。
ラノベの得意な二次元特有の世界観がありますが、まあ、作品的にラノベっぽい面白さがあります。
それはそれでいいのですが、今回注目したいのは作者です。
この作品はグループ、いわゆる複数の作家が合わさって書かれています。
そこで言いたいのが、
「シナリオもひとりで書くだけが能じゃない」ということです。
この作品の作者、“Sperkeazy”とはラノベ作家のさがら総さん、橘公司さん、渡航さんの3人のユニット名です。
それぞれピンで成功されている作家さんですが同年代で仲がいいとのこと。
そのような実績のある3人が集まって書かれています。
アニメ分野でもそのような複数の作家さんが集まって作品を書いている事例は他にもたくさんあります。
カードキャプターさくらの原作者、CLANPさんなどが有名です。
もともとシナリオも含めて作家稼業って自分ひとりから始まるものですが、できれば、出来ればですよ、仲間がいた方がいいのです。
なんでか。
それは人1人のキャパシティなんてたかが知れているからです。
アイディア面にしても、作業面にしてもすぐに限界が来てしまいます。
それを否定する人は世間知らずか、自分を天才と思っているか、おバカな勘違いさんか、そんなところでしょう。
仲間がいてひとつの作品を書くことによるメリットって何でしょうか。
それは拡張性です。
作家ひとりでは単なる1でしかありません。どうあがいたって“1”以上は有り得ません。
ところが複数であるなら1+1=2ではないのです。
1+1=4だったり6だったりします。
ひとりで考えるよりも何人かで考えた方が、確実にいい物を書ける可能性が高まります。
複数で取り組む目的は相乗効果、シナジーです。
「より面白いモノが出せる」、この一言に尽きるのです。
“可能性が高まる”とは、絶対じゃないからそう言いました。
デメリットもあります。
一番のデメリットは空中分解でしょう。
意見が合わなければストレスにしかなりません。
そしてSperkeazyなどは成功例ですが合作によるシナジー効果を意図的に導くのは至難の業でもあります。
相性のいい人との巡り合わせ、これが懸案事項となります。
これって人間関係で一番濃い家族でもなかなか上手くいかないのが現状です。
ましてや作家として結果を目指す、という意味ではカセになることの方が多いような気もします。
同じ趣味、同じような価値観を共有出来る人って、人が一生掛けて何人出会えるでしょうか。
これが最大の問題です。
でもこのような懸案をクリアできる人がそばにいると最強の味方になってくれます。
実際問題、シナリオに限らず街中で商売しておられるお店のオーナーに聞いてみても「え?そんな人と出会えたの?」と驚くような希有な巡り合わせがあって、現在の立場や地位を獲得されていたりします。
本当です。試しに何らかで成功している人、または長年継続されている人に聞いてみて下さい。たいがいその様な人が1人や2人おられます。
私もシナリオスクールに通っていた頃、その様な人に巡り会えればいいな、なんて思っていましたが現実は逆でした。
意味の分からない主張をする人が多くて、気が付けば自分もそうなってしまいます。
仲間を作るどころか、人を嫌いになってしまいます。
そういった経験があなたにもあると思います。
仲良く過ごすはずの学校生活も蓋を開ければいじめられて最悪な思い出になることだって現実にありますし、珍しいことでもありません。
この矛盾はシナリオに出来ますが、人間関係においてなかなか上手くいかないのが世の常というモノです。
でも一旦意気投合して目的意識も共有できたらこのような面白い作品だって書けてしまいます。
どうやったらそのような仲間になれる人と会えるのか、それは私にも分かりません。
でも少なくともシナリオスクールのような一見同じ志の人が集まっているようなところでも、人の書いたシナリオを否定していてはダメだと思います。
そんな人が多いのがシナリオスクールの実態なのですが、シナリオスキル以前に他人を否定したら倍返しで否定されます。
だから、自分を認めて貰いたいならまず、
「他人を認めること」です。
認めるところがなければ、見つけることです。見ようとすることです。
たいがい見ようとしません。自分の主観を通したがります。特に素人は。
大事なのがまず “自分から”、と言うところです。
まず、自分から他人を認めてあげて、そして自分の存在を認めてもらいます。
この順番は崩せません。
崩して成し得るほど他人はあなたに、そして私にも寛容ではありません。
人って認めてくれる人、褒めてくれる人、メリットを与えてくれる人以外はすべてモブなのです。
どうでもいい無関係な人のカテゴリーに処理されます。
で、
これくらいの価値観も分からない人がスクールには多かった。
自分を天才と勘違いしている傲慢さを知らずに主張する人が集まる場所でもあったのです。
シナリオって意味を間接的に表現する手法のひとつです。
だから自分の振る舞いを客観視出来ない人はシナリオライターに向いていないと思います。
発信者には向いていないと思うのですね。
その様な人に巡り合わせなんかあるわけございません、自ら可能性を否定していますので。
創作とは、シナリオにしてもラノベ作家にしても作業はとても孤独です。
誰かに相談したい、それもなかなか適いません。
そんなときに支え合う人が1人でもいればこれ以上ない味方になります。作業的にも、精神的にも、です。
人には相性というものがありますのでストレスになるようなら避けるべきですが仲間になれそうな人に巡り会ったなら、どうか優しく接して下さい。
そして優しくされたなら、その優しさをもってちゃんと返して下さい。
返すまでやって1セットです。あまりにも返さない人が多い気がします。
そうすれば偶然の巡り合わせも必然に昇華します。
結果、他人と共同で優れた作品も書けるようになります。
まずはそこからです。
ちょっと作品と関係ない話ばかりでした。
このクオリディア・コードは合作が故に話の拡張性を発揮された秀作だと思います。
とにかくテンポとノリがいい。
オープニングテーマだって、鬼滅で有名になる前のLISAさんがとんがっています。
そもそもアニメを初めとした映像制作は多数のスタッフによる合作であります。
その構造は合理的であり、当然シナリオにも応用が利くのです。