アニメシナリオ脚本スキルBlog|シナリオ教室の劣等生

シドニアの騎士|シナリオスキル

今回のお題は

 

「シドニアの騎士」から読み解くお話しの繋がり、です。

 

弐瓶勉さんの漫画原作でSF宇宙ロボットアクションモノです。

 

アニメ的にはとても特徴があります。

 

制作会社のポリゴンピクチュアズは独特のセルライクフルCGアニメーションにより、これまた独特のキャラデザだったりディテールの豊かな映像を作るのが得意な会社です。

 

一度見ればポリゴン製だとわかるようなオリジナリティがあります。

 

昨今、アニメでもセルライク(アップルシードのようなリアルライクでなく)フルCGアニメーション(演出として一部のシーンだけ3DCGIや2DCGを使うのではなく)を専門とする会社も増えてきました。

 

有名どころではサンジゲンやオレンジ、老舗で言えばグラフィニカやGONZOなどがあります。

 

これらのCGアニメーション制作会社もグロス請けから元請けになりつつあり、そのあたりは時代の流れといったところでしょうか。

 

アニメの表現手法がこのようなコンピューターの性能が上がるに付けて進化していく過程は、かつて色彩がデジタルに移行した時代を思い起こさせます。

 

256色しかなかった太陽絵具、スタック絵具の時代からデジタルの無限色彩に変わっていった変遷と似ています。

 

今後はこういったフルCGアニメーションが主流になってくることでしょう。

 

それでもオリジナリティはいつの時代でも人間が見る以上その価値に変わりありません。

 

サンジゲンでもグラフィニカでも違ったアニメーション表現ですが特にポリゴンピクチュアズは頭ひとつ出ています。

 

監督は第一期が静野孔文(しずのこうぶん)氏、第二期の第九惑星戦役では瀬下寛之氏です。

 

シリーズ構成は村井さだゆきさんです。

 

2014年と2015年に計2期24話放映されました。

 

さて、

 

この作品はとにかく世界観が凄いのです。

 

原作者は相当作り込んでいます。

 

各話のアイキャッチに「シドニア百景」の挿絵があり、広大なシドニア艦内の名所旧跡が描かれています。

 

それはもう見て貰うしかないのですが、ハリウッド映画にも対応できそうな設定があります。

 

壮大ながら繊細な表現があります。

 

特に日本チックであり登場人物や言語、機械の表記なども全部日本語になっていたりします。

 

こういったSFモノなんかはみょ〜にアメリカ英語かぶれしていて当然とされていますが、シドニアの騎士はあくまで日本人の活躍で構成されています。

 

ストーリーテラーはいたって王道で敵と味方がはじめから分かります。

 

巨大な宇宙船(播種船)“シドニア”は人類が対話不可能宇宙生物“ガウナ”に滅ぼされてから1000年の歴史があります。

 

そのガウナとの戦いが100年ぶりに再開してしまいます。

 

主人公の谷風長道(たにかぜながて)は特殊な能力と境遇の持ち主でいわゆる“シドニアの騎士”として活躍します。

 

人類が1000年もの間、どうやってシドニアの中で生きてきたのか、どんな戦いによって生きながらえてきたのか、そのあたりの設定に面白さがあります。

 

シナリオも面白いのですが、こういったSFモノは設定、ストーリーボードが優れていないと舞台が整いません。

 

私的にはシナリオよりもストーリーボードに興味を引かれました、ぶっちゃけますと。

 

設定はやはり大事です。

 

設定というフィクションの中にシナリオとして普遍性を入れると本当に際立つのです。

 

シドニアや谷風が操縦する継守という戦闘用ロボットは考えられないような進化した機械ですが、操縦したり操作するのは人間でしかありません。

 

無人機などの設定があってもおかしくない世界観ですが、あえて人が入らなければならない要素を残しておいて人の葛藤を描いています。

 

誰も戦いで死にたくない、そんな生死を分ける結果がお話しを面白くしています。

 

お話し的には得体の知れないモノからの侵略される恐怖を描いています。

 

その根源は人の生存本能によるといったものでそれこそ王道的な物語ですが緩い描写としては割と身近なラブコメ的な要素も含まれています。

 

ようやく本題ですが・・・

 

シドニアの騎士を見ていてシナリオ的に感じるのは、

 

エピソードの繋げ方です。

 

ある問題を解決しようとするエピソードで頑張って解消したとします。

 

でも解消したが為に新たな問題が生じてしまいます。

 

こういったエピソードの重ね合わせでお話しの起伏を作っています。

 

その重ね合わせたエピソードでの問題とは、最初はキッカケとして敵のガウナが襲ってきます。

 

その戦いを通じて結局は勝利はするのですが、その勝利による新しい問題が起こるように設計されています。

 

第一期のヒロインは星白閑(ほしじろしずか)ですが閑と谷風の距離が縮まるキッカケはガウナとの戦闘中に起こりました。

 

戦いに勝利した谷風は漂流した閑を助けるために帰還限界線を越えてしまいます。

 

当然その後は助けが来るまでサバイバルとなるのですが、このように流れを絶やすことなくガウナとの戦いを上手く引っ張っています。

 

こういった手法は何もこの作品独特なものではありません。

 

だから王道なのですが、キッカケのキッカケという具合に複数のエピソードを絡ませることでお話の展開を面白くしています。

 

お話しの緩急にも貢献しています。

 

激しくて熾烈でスピード感ある戦闘シーンと、漂流して助けを待っているだけの動きの少ないシーンの組み合わせで緩急を付けて対比を演出しています。

 

重ね合わせはやり過ぎると見ている人が訳分からなくなりますがシンプルに動機付けすると描きやすくなるのかもしれません。

 

シドニアの騎士は王道なスト−リーテラーを独特の世界観とこれまた独特のCG表現で組み立てられています。

 

躍動感やモーショングラフィックなどはさすがCGではきれいにカッコよく描かれています。

 

お話し面でもエピソードの重ね合わせは面白いが故に王道で、汎用性があります。

 

是非使ってみて下さい。

 

構成が楽になるはずですので。


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