プロからマネージャーへ
専門性の高いプロフェッショナルな人は自分がプロになったらそこで止まってしまうことが多いと感じます。
しかし自分だけの単身、若しくはパートナーと2人くらいの規模であればなんとか継続できるでしょう。
もしその上のステージを望む場合にはマネージメントを付加させなければ組織は作れません。
プロフェッショナルからマネージャーにバージョンアップが必要になります。
穂乃果はμ’sのメンバーや応援者からいろんな形で諭されました。
そして想いも新たに練習着に袖を通します。
自分の想いと行動を素直に一致させて事態の収拾を図ろうと決意します。
その想いとは穂乃果に根付いたプロフェッショナルな魂によるプライドだったのではないでしょうか。
穂乃果はスクールアイドルのプロフェッショナルです。
3人μ’sを発足させた時とは違うものに成長しています。
ですがそのプロフェッショナルであるが故に失敗をしました。
自己を高める努力が人を巻き込み残念な結果を招いてしまいました。
ある意味、穂乃果は職人と言えます。でもその職人気質が好ましい結果を導きませんでした。
今、リーダーの穂乃果に求められているものとはマネージメントなのです。
穂乃果はマネージャーにならなければいけないのです。
とは言っても、もともとCEO気質の穂乃果は今までもμ’sのマネージメントしてきました。
重要な局面で好ましい方向へμ’sを導いてきました。
穂乃果の失敗はもとからあるマネージメント力の使い所を間違えた為、そして全体のバランスを考えず自分のプロ魂だけに依存しすぎたため起こりました。
そのプロ魂は「周りが見えなくなる」「自分も見えない」ところまで穂乃果を追い込んだのです。
マネージャーは絶えず全体を見通せる客観性が必須となります。
そうでなければ組織がうまく機能しません。
人のプロフェッショナル性は時としてこのマネージメント性=客観性を無視してしまいます。
自己を高める意外に気を配りません。
特に意識が「夢中」モードになるとますます客観的な観測をしなくなります。
この感覚が本人にとってはとても心地いいのでなかなか気付けません。
気付きにくいから、グループの人が安心して自分に集中して高みを目指してもらいたいから、客観的な観測と冷静な判断ができる第三者、マネージャーが必要になります。
穂乃果にはプロとマネージャーの2つの要素が求められていますがμ’sはその点よく出来ていて穂乃果の他にマネージメントが得意な絵里がいます。
マネージメントを分担できる環境が揃っています。
この構造により穂乃果も絵里もスクールアイドルを現場で活動しながらマネージメントを兼業できるのです。
マネージメントというとなんだか難しかったりリーダーの専業のような印象がありますがそのような事はありません。
至ってシンプルな発想なのです。
グループで巨大迷路を歩いているとしましょう。グループ全員が同じ行動をとったらみんなまとめて迷って出口には辿りつけません。
そこで一人、近くの煙突に登って周りを見渡す役割が必要になります。
周りを見渡せる人の指示に従えば容易に出口を見つけられます。
この見通す役割がマネージャーになります。
但しマネージャーには適正が求められてます。
それは”人の立場になってものを考えられる人”です。これが生死を分けます。
実際のところ、リアルでマネージャー職に就いている人でもこの点が抜けている場合があります。
当然機能しないのでグループ全員迷います。それでは生産性は上がりません。
マネージャーは相手の立場になって、初心者の視点に合わせて新人教育したり、お客さんの視点に立って発想できなければ役目を果たせません。
あくまで客観的でないといけないのです。
しかしながらこのマネージャーたる客観性とプロフェッショナルたる職人気質はある意味相反する要素も含んでいます。
マネージャーは客観的視点で物事を判断するものに対して、プロフェッショナルは自分の視点で行動します。
判断行動基準が根本から違うのです。
人は行動を起こす時にまず自分の出来る事から始めます。つまりプロを目指します。
ですがプロフェッショナルを究めてもそれでうまく回るわけではありません。
今度は相反する視点で動くマネージャーにならなければ大きくもなりませんし、うまくいきません。
たいがいマネージャーまで行く前にプロフェッショナルの段階で満足してしまいます。
マネージャーの必要性は感じていてもそれはとても面倒なものに映ります。
めんどくさがって行動しないと結果的に継続すら困難になります。
そして西麻布の裏路地のクオリティの高いお店がいつの間にか消えていたり、メジャースポーツで成功した人や宝くじで大当たりした人が後に破産したりするのはこの客観性、マネージメントを疎かにした結果に過ぎないのです。
マネージメントはある段階まで登りつめた次のステップとして必然的に求められるものなのです。
でもこのマネージメントは何もリーダーやプロを極めた当事者の専業ではありません。
自分で出来なければ他に振る事ができます。
法律的視点から客観的な判断をする専門家は弁護士です。経営を客観的な視点で判断する人がコンサルタントです。
このような人たちを活用すれば自分は安心してさらなるプロフェッショナル性の追求に専念できるのです。
何も全て出来なければダメという話ではありません。
この点を理解していないと穂乃果みたいな「夢中」の弊害に合いやすくなります。
穂乃果は高校生でスクールアイドルも有志の集まりですから修正も間違いも「ゴメン」で済みますが、リアル店舗に莫大なお金をかけて立ち上げたり、人生をかけている場合にはシャレになりません。
一定のレベルに達したプロフェッショナルはどこかで視点を切り替えなければならない事実を理解しておいてください。
悲観すべきことではありません。成長の過程であり証なのですから。