ラブライブ!ビジネス論 高坂穂乃果はCEO

このサイトの記事は 『c2013 プロジェクトラブライブ!』 よりビジネス論比較研究の為に引用させていただきました。

真姫がオチた理由

 

真姫が穂乃果に口説かれて作曲を引き受けた理由を心理学的見地から考えたいと思います。

 

これまでの真姫と穂乃果のやりとりをおさらいすると・・・
 穂→真姫の歌を耳にします。魅力を感じて単刀直入にオファーします。
 真→「ナニそれ意味わかんない」と一蹴されます。
 穂→正式(?)に作曲のオファーをします。
 真→「お断りします!」と一蹴されます。
 穂→しつこく三回目のオファーをします。
 真→海未の作った詞を受け取ります。そして曲を提供するに至りました。

 

穂乃果の粘り勝ちという構図になりましたが、ここでも真姫が承諾したワケが心理学で説明できます。

 

初めに穂乃果は「アイドルやりませんか」と投げかけました。返ってきたのは穂乃果自身が「だよね〜」とへこむほどの、当然の反応でした。真姫が受け入れるにはハードルが高すぎたのです。

 

でもこのハードルの高さが後に影響を及ぼすと同時に真姫は穂乃果の存在と目的を認識しました。

 

二度目のオファーで、より具体的な提案(作曲をお願いしたい)と、なぜそうしてもらいたいのか、の理由(廃校の阻止)を訴えます。
結局却下されますが穂乃果はこれまでのやりとりで「真姫はどんな女の子」かを理解しはじめます。

 

三度目で穂乃果はまず真姫の意見を聞きます。「しつこいですね」と言われても逆らわずにそれに同意します。真姫に反論の余地を与えません。なにか言えば反応する真姫の性格を穂乃果はすでに知っています。
そして挑発すればすぐに乗る真姫の性格を利用して「腕立て」を実際にやらせます。これにより自分たちのやろうとしていることが真姫の認識とは違うという事=誤解を解きます。

 

ここからが肝心なのですが、三度目のオファーにおいては、穂乃果はスクールアイドルになってくれとか、自分たちの為に作曲してくれ、というオファーをしません。

 

「はい、歌詞」「読むだけならいいでしょ」としました。

 

そして真姫は詞のメモを受け取ります。描写自体は軽く受け取っていましたが、その意味は ”ついに受け取ってしまった” のです。とうとう承諾してしまったのです。

 

この行動は「コントラストの原理」で説明できます。「コントラストの原理」とは単体では高い(物の値段でも依頼内容でも)と思われるものも、比較するものがあれば安く(低く)感じる心理の事です。
普段の買い物で1万円の商品は「高い」と感じても一戸建て住宅を3000万で購入するときの1万円は「安く」感じるというものです。
つまり対比するものがあれば同じもので「高く」も「安く」もなるのです。

 

真姫の場合、「アイドルやりませんか」を商品に例えるとしたら、それ単体で言われても自分には高くて買えませんし買う意味が分かりませんでした。よって却下になりました。でもこの要望の高さが「詞を読んで」というオファーを「それくらいはいいか」程度に感じさせました。形としても穂乃果が真姫に対して「譲歩」したようになりました。

 

この譲歩がオファーを受ける側に強い影響力を発揮します。受け手は心理的に「譲ってもらえたんだから応えなきゃいけない」衝動に駆られるのです。よって真姫は引き受けてしまったのです。

 

「譲歩」の戦略は送り手と受け手の立場を逆転するほどの強制力を秘めています。
何か人にお願いするとして、ちょっと受け入れてもらえそうにない案件ならば、最初にそのオファーよりかなり高いオファーを提示します。当然断られますが、断られた直後に本題のオファーをすると承諾率が格段に上がるのです。
最初に提示したものと実際のものとのコントラストを意図的に演出することで相手の印象を操作できてしまうのです。

 

そして、この時点で真姫は穂乃果にオトされました。とうとう承諾したのです。小さい承諾でも開かないドアのカギをこじ開けた事に変わりありません。
後はナシ崩し的に受け入れて貰えます。
作曲も、アイドル活動も、真姫にとってやろうと思えばそんなに難しいものでは元々ないのです。

 

さらにこの「コントラストの原理」は明確な理由を添えると効果があがります。

 

なぜ「詞を読んで欲しいのか、作曲をお願いしたいのか」を穂乃果は 廃校うんぬんではなく穂乃果自身の感じたままに素直に訴えました。

 

 「わたし西木野さんの歌声大好きなんだ」と。

 

穂乃果の明確な「理由」が真姫の心を動かしました。

 

これはリアルでも同じで、人に頼みごとをするときに理由を付けた方が格段に承諾率が上がります。
 「〜してください」より「〜だから〜してください」「〜なので〜をお願いします」など。
それに相手の名前と一緒にコミットすると更に受け入れやすいオファーになります。

 

さらにさらに穂乃果は「すっぱり諦める」としました。

 

これは「希少性、限定性の原理」にもあてはまります。例えば人に物を売る場合、いつでも買える状態であれば商品が売れるかというとそうではありません。
 「いつでも買える」は「いつまでたっても買わない」と同義です。

 

そんなときにどうすれば購入を促すことができるのでしょうか。
それは「今しか手に入らないですよ〜」とすることです。つまり期間限定、時間限定、個数限定などの縛りを与えて決断を迫るのです。

 

テレビショッピングなんかがいい例です。よく見る「なんちゃら限定!」とか「番組終了30分以内」はこの「希少性、限定性の原理」に基づいた心理を利用して構成されています。この効果で消費者は「早く電話しなくちゃ」となります。

 

またこの「希少性、限定性の原理」にも明確な理由が存在すると効果が上がります。

 

更にもう一つ「希少性の原理」には面白い事実があります。
先ほどはテレビショッピングを例に出しましたが実は、人は買うなどしてこれから何かを得る機会を失うことより、既に得たものを失う方が怖いのです。

 

真姫にとってこれから得るものとは「作曲の機会」と「音楽を続けられる理由」でしょう。
既に得たものとは「穂乃果の評価」になるのではないでしょうか。
穂乃果のオファーを断ると作曲の機会のみ失われるのではありません。同時に自分のことを誉めてくれる穂乃果の評価も失うことになります。
孤独な真姫を認めてくれる他人=穂乃果との”縁”も無くなるのです。

 

失いたくなければ承諾するしかありません。しかも今、ここで、です。

 

穂乃果は「これでおしまい」ということを暗に訴えて自分の意見の価値を高めたと同時に決断を迫りました。
そして穂乃果の言葉は確実に真姫に響いて行動に至りました。
結果作曲まで承諾し、真姫自身の居場所をも獲得できました。

 

まぁラブライブ!は架空のお話なのですが掘り下げるとけっこう面白いしリアルライクなのです。

 

オファーとは、相手あってのオファーなのです。

管理者著書

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