リーダーの役割
希はμ’sに興味深々です。
どうも普通の部活みたいな集団とは違う構造を感じているようです。
希は穂乃果に聞きます。
「あなたはなにしてるの?」
μ’sのリーダー穂乃果の役割ってなんでしょう。
「ご飯食べてぇ〜」とかは、それは穂乃果の日常です。
一番肝心なのは「もちろん二人の応援もしてるよ」の部分です。
歌詞を考えている海未、衣装デサインを考えていることりの真ん中で、穂乃果は何もしないでウキウキしています。
一見サボっているようですが、実はこれが正解なのです。
リアル社会でもリーダーは、もし自分がリーダーとの自覚があるのなら現場作業をしてはいけません。
ちゃんと作業の進捗は確認しておかなければなりませんがリーダー本人が作業をやってはいけないのです。
リーダーの仕事の一つに「人に任せる」というものがあります。
効率的に結果を得るためには一人で全ての作業をこなす訳にいきません。というか出来ないはずです。
スクールアイドルにしてもステージでパフォーマンスを披露するに至るまで、素人が考えたって膨大な作業をクリアしていかないと成し得ないと思われます。
それは穂乃果でなくとも一人では実現不可能です。
そこで「分担」の必要性が出てきます。
分担を「決める」のがリーダーの務めになります。人の適正を見極めて適度な作業量を割り振ります。
それで時間的制約とか担当者のアクシデントとかが発生したりして、どうしても人的な不足が生じた場合にのみリーダーが担当の仕事をヘルプします。
ですがあくまでヘルプ程度です。本職にしてはいけません。
なぜでしょうか。それはリーダーにしか出来ないことをする為なのです。
穂乃果の場合、「他のスクールアイドルを見て凄いな〜って」感じて、感じたものをμ’sに取り込んで結果に反映させる事が仕事なのです。
リーダーというと”上司”というイメージがありますが上とか下は所詮名目でしかありません。
歌詞を決めて、衣装振付を決めて、結果を導き出す為の ”決定” がリーダーの役割なのです。
歌詞を考える役割、でも歌詞が完成してもステージには立てません。衣装をデザインする役割、でも衣装だけ完成してもステージには立てません。
そしてリーダーはそれらをまとめて最終的にステージに立ってお客さんに物を提供するまでの工程を「決める」のが役割です。
そしてそれには責任が伴います。さらに評価も請け負います。
そんなリーダーの穂乃果は、ぶっちゃけやることさえやっていて、見ていなければならないところは見ていれば、何をしていても構わないのです。
管理者は若いころこの仕組みを知りませんでした。
単純に上司の体の動きだけ見ていて「なんかサボっている」という印象だけで人を見ていました。
管理者はそのころ飲食店の店舗責任者を務めていましたがその時もまだ解って無くて、よく黒服を着たまま率先して洗い場で食器洗いなんかしていたものです。
これは「上司が積極的に仕事をしなければ示しがつかない」との考えからなのですが、その後の人生で「間違い」に気が付きました。
確かに「示し」はつきました。
部下やバイトの子たちも率先して仕事してくれたと思います。
でも店舗責任者先輩諸氏の行動をみていると黒服着ている責任者はレジブースから離れません。
部下にキチンと指示をして役割を与えていました。
上手な責任者は自分がいなくてもお店が回るまでの仕組みを作っていました。
当時の管理者の考えは浅はかだったのです。
しかし管理者と同じロジックで動くリーダーは多いと思います。ひとつはリーダーであっても作業に詳しければ作業に没頭していた方が「楽」だからです。
しかも人に指示する立場なら自分がやっていても他から指摘されません。
それに見た目でも作業をこなしているので充実感もあります。
でも実際はリーダーの役割を放棄しています。やっていません。
こういったことは専門職、職人に多いのですが、人に任せられなくて「自分でやった方が早い」と結論付けて肝心のリーダーの役割を自ら投げてしまう・・・
これでは管理職失格です。こういう人はリーダー、マネージャーには向いていません。
お店でも会社でも管理職は”プラプラ”していた方がいいのです。
”プラプラ”していてもキチンと会社が回っていれば、その仕組みを作っていればそれでいいのです。
とかく見た目忙しくしていないと落ち着かない性分も管理者は理解しますが、それでなにか作業を始めてはいけないのです。
全てはリーダーの役割を果たす為。他の人には出来ない仕事に取り組む為なのです。
穂乃果はあらゆる局面でリーダーたる判断を行いμ’sを導いていきます。
肝心なところで適切な判断をする、「決断」するのがリーダーの最大の役割なのです。
「決める」ことが出来る人がリーダーになれるのです。