優先順位は変えられない|シナリオ教室の劣等生

優先順位は変えられない

 

物語を語る上で一番プライオリティが高いのがキャラクターである。 

 

これは揺るぎない事実である。構成や設定、俳優やキャスティングはキャラクターに勝ることはない。
しかしながらこの原則を貫けているのか、
現在放映されているアニメ作品はこの原則を堅持したうえで構築されているのか、

 

答えは ”否” である。

 

 

キャラクター不在の弊害

 

制作上プライオリティの高いキャラクターの破壊力は想像以上に凄まじいものがあります。
魂込めれば自動的に演じてくれる反面、創造した作者本人でも制御不能になりえます。

 

それくらいキャラクターというものは物語に対して大きな影響力があるのです。
そして自発的に、自動的に演じてくれるキャラクターを一旦創作すると脚本術なんてどうでもよくなります。

 

起承転結?序破急?構成?ターニングポイント?どんでん返し?・・・
そんなものは結果論でしかありません。
脚本術で俯瞰して見た程度のシナリオの構造なんか自動的に演じるキャラクターに任せておけば結果的にそのようになります。

 

本来、キャラクターを創作するとは こういうことなのかな、と管理者は痛感するのであります。

 

小説家さんはこうしたイマジネーションの中で世界を広げていくのでしょう。なんとなく分かる気がします。

 

でもアニメとしての映像コンテンツの場合は創作中心でものごとは運んでいません。
時間的にも 物語的にも制約が存在します。

 

そして、しばしば大原則をも覆す力技に出たりします。

 

いくらキャラクターが主体的に演じてくれるにしても、なんでもアリとはいきません。
我々リアル人間と同じで ”自由” の名のもとに生きてはいますが勝手気ままに なんら縛りもなしでいいかというと そんなことはないのと同じです。

 

そこにはルールとかモラルとか・・・
もっといえば人の普遍性みたいな定規でキッチリ分けられない要素も持ち合わせて生活しています。

 

そのグローバルルールとでも言いましょうか、それを監督するのが創作者である脚本家の役割です。

 

キャラクターのディテールはキャラクターに任せて、道標や向かうべき方向は作者が与えてあげないと
ただただ迷っているキャラクターにしかなりません。

 

その道標に制作上の制約とかが絡むと話が破綻というか、おかしなものになりがちなのです。

 

一番目立っておかしくなる事案に ”話の詰め込みすぎ” があります。
他にも弊害はあるのですが特にこれが最近のアニメでも横行しています。

 

そう、この記事を書いている2016年末においても、名前は言いませんが顕著にそういう作品が放映されています。

 

カワイイ魅力的なキャラデザ、きれいな作画、魅力ある声優さん、音楽も最高で期待していたせっかくのアニメ化作だったのですが・・・
テンポの飛ばしすぎとエピソードの詰め込みすぎで、キャラクターの魅力が台無しになっています。

 

つまり、設定やあらすじや原作その他の思惑がキャラクターの優先順位を越えてしまっています。

 

見てみると明らかに違和感があります。

 

しかもこの作品の制作陣は脚本家含めその道ではかなり有名な人が作っておられます。

 

管理者はスタッフの布陣でもその作品を 「見るか見ないか」 を決めているのでかなり裏切られました。

 

それは展開が早いとか、テンポに富んでいるというものではなく、単にエピソードの詰め込みすぎによる違和感でしかありません。

 

 ”キャラクターは1クール12話で全体的に把握できればいい” という単純な問題では片付きません。

 

1シーン、1シーンにキャラクターをキチンと表現するためには(演じさせる為には)適切な

 

 ”時間と間” が必要です。

 

特に時間に拘束される宿命を負っている映像アニメは一人のキャラクターの魅力を十二分に視聴者に伝えるには限界があります。

 

それだけ時間がかかるのです。

 

このアニメ作品はゲーム原作でしたが、
ゲームはプレイヤーに時間経過を任せているので、制作者は展開の選択肢をいくら増やしても選ぶのはプレイヤーであり、選ばれたエピソードはそれ専用の時間経過を辿れます。
その選ばれたエピソードには時間的制約はありません。

 

たくさん用意したエピソードの集まりをアニメのたかだか23分くらいには詰め込めるわけがありません。
当然、スピードは早足でキャラクターの印象はおいてけぼりになります。

 

決して難しい理屈ではありません。

 

でも簡単な理屈でさえもプロの、それも当代きってのクリエイターが作ってもこのような初歩的な間違いを起こします。

 

ご本人たちは間違いと気付かないかもしれません。

 

満足しているユーザーはたくさんおられるでしょう。
それでも管理者含め脚本を勉強している者が見れば、見られる人が見れば分かってしまう欠陥なのです。

 

そしてなにも特別な演出その他を求めている訳ではありません。
普通に作ればなんら問題のない単純なところで、もっといえば他のアニメ作品でも出来ている、
配慮してある部分が欠けている、それに気付かず放映に至るのが残念でならないのです。

 

 「良い作品なんだからもっとキャラクターをちゃんと見せてよ」

 

これがキャラクターをシカトした結果なのです。

 

また見たいとは思いません。

 

 

 

キャラクター不在の症状

 

上記のようにキャラクターの存在をシカトすると物語全体が歪みます。

 

我々はシナリオを書く場合に注意してキャラクターをリードしてあげなくてはなりません。
自分の作ったキャラクターを大根役者にしてはならないのです。

 

せっかく創作した自分のキャラクターを活かすも殺すも脚本家次第なのです。

 

上記は制作上の都合(あらすじや設定を優先した)でアンバランスになった事例ですが
我々初心者が陥り易いキャラクター不在の症状を紹介します。

 

そうなんです、創作物であるキャラクターたちにも、風邪をひいたような症状が出てくるのです。

 

 

症状その1 動機があいまい

なんにでも(場面でも、ト書きでも、セリフでも)そうなんですが・・・
与えた状況に対してキャラクターのリアクションが吊り合っているか、考えなくてはなりません。

 

つまり、動機の答えが、行動に伴っているか、ということなのですが、お分かりになるでしょうか。

 

簡単に説明すると
 「すれ違う時に肩がぶつかっただけでは殺し合いにはならない」 

 

ということです。

 

 「殺し合い」 という行動の動機が
 「肩がぶつかった」 だけでは

 

成立しません。

 

シナリオを書いていて管理者も経験ありますが、
明確な理由付けが思い浮かばなくてテキトーなキッカケを誇大に評価してリアクションとしてしまいます。

 

これはリアクション優先に物事を考えてしまうと生じるものだと思うのですが、
いうなればキャラクターの行動のみに焦点をあててしまうと結果で ”つじつま” が合わなくなります。

 

つじつまがあわない、とは動機の結果が不自然になる、ということです。
「なんじゃそれ」になります。

 

これはキャラクターの一部分 「行動」 だけを操作しようと意図したことでキャラクター不在となってしまいます。

 

動機があいまいなのです。

 

そして動機は後付けできません。
映像の見せ方としては ”後で答え合わせ” は有効な手段ですが、その動機自体は前提としてかなりしっかりしていないと、破綻します。

 

それを解消するために初心者はなにをやらかすかというと・・・

 

 

症状2 説明セリフが多くなる

こうなります。

 

この症状が出たら作者はキャラクター含めて物語の点検をしなければなりません、それも早いうちに。

 

キャラクターが、特に自分の事を説明し始めたらかなり危険信号=即危篤状態と思っていいと思います。

 

なぜか、
そうしないと見ている人に伝わらないと作者が分かっているから、です。

 

アニメは 「N」 や 「M」 を多用しても違和感の薄いコンテンツではありますが、それでも文言は場面や状況の説明に留めるべきです。
ましてキャラクターが自分の事、気持ち、感情を説明しなくては話が伝わらないようでは、
それはキャラクターを捻じ曲げている何かがある証拠なのです。

 

つまり ”苦し紛れ” なのです。

 

作者、脚本家は徹底的に点検してキャラクターの症状の改善に努めなければなりません。
キャラクターをそのような状況に追い込んではいけないのです。

 

なにが原因か、

 

そのひとつが ”動機の不足” だったりします。

 

シナリオスクールでもセリフで説明は書くな、と教わります。
でも、なぜ説明セリフが悪いのか、どこに原因があるのか、なぜ説明セリフを使いたくなるのか、
までは教えてくれません。

 

説明セリフに特化した秀逸な作品もあります。
西尾維新さん原作のアニメ化作品です。

 

         

 

でもあれは作品のトーンのひとつとして、演出としてあえて場面を変えず説明中心で話を進めていく極めて高度な設計によって成り立っています。
我々初心者がマネしちゃだめだし、マネすらできません。

 

説明セリフが悪とは思いませんが、自分の創作したキャラクターが説明じみたことを言いだし始めたら、

 

それはキャラクターが 「なんとかしてくれい!」 と言っています。

 

説明セリフを言わせるにしても、それ相応の動機、理由が必要です。
その動機が ”苦し紛れ” なのか、布石があってあえて言わせているのか、そこを点検します。

 

自分のミスリードを認めて、正しい方向、カッコイイ、カワイイ方向に導いてあげましょう。

 

 

自分の創作したキャラクターに対して愛情とまではいかなくてもいいですが、
これくらい読み取って考えてあげてもいいのではないでしょうか。

 

シナリオスクールでは課題を毎週提出させられます。これには条件があって
 「同じキャラクター、同じような内容は避ける」
というものが、今でも管理者は納得していません。

 

毎回、違ったお話しで違った人物でテーマをこなせ、というものです。

 

でも、キャラクターは使い捨てではありません。

 

例え同じ話で、毎回登場する同一のキャラクターがいて 十数課題こなしても、結果的に魅力あるオリジナルキャラクターをひとり作ったほうが よほどクリエイティビティだとは、思われないのでしょうか。

 

管理者は切に願います。
自分のキャラクターを大事にしてあげて下さい。

 

 NEXT Entry 『キャラクターから生まれるストーリー』

 

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第一章 シナリオ構築の全体像
  • 参考に過ぎません
  • 必要な作業とは
  • 小から大へ向かう
  • この作業に取り組める人とは

第二章 実作業に取り組みましょう
  1. テーマの設定
  2. ログラインの決定
  3. お話しの骨格を設定する
  4. キャラクターを作ってみよう
  5. プロット出しでアイディアを量産する
  6. 箱書きで構成を検討する
  7. 下書きシナリオ執筆
  8. 推敲と清書

第三章 お話しの作りはお手本からマネをする
  • 現実的な“マネ”とは

第四章 コンクールに応募する場合
  • 応募要項は鉄板ルール
  • スケジュールに気をつけよう
  • 添付するあらすじについて


※PC画面で23ページ、16075文字



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