「フルーツバスケット(第一期)V」から読み解くシナリオ脚本スキル

フルーツバスケット第一期V|シナリオスキル|紅葉の語る“愛しさ”

今回のお題は

 

「フルーツバスケット」から読み解く紅葉の語る“愛しさ”、です。

 

“フルバ”の第三回目です。ちょっとこだわってしまいました。

 

今回はごちゃごちゃ言いません。草摩紅葉(そうまもみじ)の劇中話を紹介します。

 

 

【第11話、Bパート 脚本:池田眞美子 絵コンテ演出:大塚雅彦】

 

イントロダクション:
本田透の尾候先である草摩紫呉(しぐれ)宅に草摩紅葉が現れる。

 

透にバレンタインのお返しとして温泉旅行をプレゼントするため。

 

紅葉の提案する温泉旅行に草摩由希は同意するが草摩夾は威勢よく拒否する。

 

そんなときに透が今現在、あまりお金を持ち合わせていないことが判明する。

 

その原因はバレンタインのチョコレート代であった。

 

自分を差し置いて由希たちのためにお金を使った透に対して夾は「バッカじゃね〜の!!」と怒る。

 

そんな夾を見た紅葉はいきなり学校のクラス会で読んだ物語 “世界で一番馬鹿な旅人” を語り出す。

 

○草摩紫呉宅・居間(夜)
   (中略)怒りを抑える夾。透は風呂へ行く。紅葉が紫呉と由希と夾に突拍子もなく学校で読んだ物語の話を始める。

 

×××紅葉影絵イメージ×××

 

紅葉「馬鹿な旅人が旅をしているの。どうバカか、というとね、その旅人はすぐ騙されちゃうの」
  咳をする老婆、旅人からお金を貰う。

 

紅葉「町の人に騙されて、お金や服や靴をだまし取られちゃうの」
  泣く女に服を差し出す旅人、靴を差し出す旅人、微笑む旅人。

 

紅葉「でも、旅人はバカだから『これで助かります』っていう町の人の嘘の言葉にも感激して『お幸せに』『お幸せに』って言うの」
   森を歩く旅人、裸。

 

紅葉「とうとう旅人は素っ裸になっちゃって、さすがに恥ずかしくて森の中を旅することにしたの、
 そしたら今度は森に棲む魔物たちに出会うの」
   魔物と旅人が邂逅、手を出す魔物。

 

紅葉「魔物たちは旅人の身体を食べたくて、上手い事言って騙していくの」

 

紅葉「もちろん、旅人は騙されて足を一本、腕をまた一本っとあげちゃうの」

 

紅葉「結局、旅人は頭だけになっちゃって最後の一匹には目をあげたの」

 

紅葉「その魔物は旅人の目を食べながら『ありがとう、お礼に送り物をあげます』っておいてくの」
   魔物の手から落ちる紙切れ

 

紅葉「でもそれは、バカって書かれた紙切れ一枚だったの」
   旅人の頭の前に舞い落ちる紙切れ、『バカ』

 

紅葉「でも旅人はぽろぽろ泣くの」
   涙を流す旅人

 

紅葉「『ありがとう、ありがとう、初めての贈りものだ、嬉しい、嬉しい、ありがとう、ありがとう』って、
 もう無くなった目からぽろぽろ涙をこぼすの」

 

紅葉「そして旅人はそのまま死んでしまうの」

 

×××戻って×××

 

紅葉「お話しはこれでおしまい」 

 

紅葉「友達はみんな旅人の事をバカにしてた」
   黙って話を聞く由希と夾

 

紅葉「僕はその中で目を閉じて旅人の事を考えてみた」
(イメージ)学校の制服姿の紅葉、目を閉じる

 

紅葉「騙されて、頭だけになって、ありがとうって泣いた旅人の事を考えてみた」
(イメージ)バカにする友達の中でひとり目をつぶる紅葉

 

(イメージ)ゆっくり目を開ける紅葉

 

紅葉「そして思ったんだ」

 

(戻って)
紅葉「ああ、なんて愛しんだろう、って」
   紫呉、納得。

 

紅葉「損とか苦労とか、考えるだけ無駄だよ、旅人はそんなこと考えちゃいないもの」

 

○同・風呂場(夜)
   湯船につかる透

 

紅葉(N)「ただ誰かにとってそれがバカでも僕にとってはバカじゃないだけ」
   透、気持ちよさそう

 

紅葉(N)「誰かにとっては騙しがいのある人でも僕は騙さないだけ」

 

○同・居間
紅葉「僕は本当に喜ばせてあげたいと思うだけ」

 

紅葉「由紀は?夾は?それでもやっぱりバカだと思う?」
(イメージ)由希と夾

 

紅葉(N)「目を閉じて何を想う?」
(イメージ)透、笑っている

 

以上です。

 

この後、夾は透に、一緒に温泉旅行へ行くことを伝えます。

 

透は感謝します、それはもう旅人のように。

 

透「嬉しいです!ありがとうございます!嬉しいです!」

 

このくだりを読んでみて、どう感じられましたか?

 

“愛しさ”に近づけたでしょうか。


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